「棋譜並べ」とは、対局の記録である「棋譜」を碁盤に並べることです。そうすることで、色々な打ち方を学ぶことができて「棋力アップ」につながります。
また、棋譜は対局の記録であると同時に囲碁の歴史でもあり、棋譜を並べること自体が面白いです。
今回は「棋譜並べ上達法」というタイトルなので、初心者・級位者の方が「棋譜並べによって上達していく方法」を詳しくご説明していきますが、本記事を通じて少しでも棋譜並べを好きになっていただければ幸いです。
初めての方にもお分かりいただけるように「棋譜とは何か?」というところから順に解説していきますね。
どうぞ参考になさってください。
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棋譜(きふ)について
「棋譜」をうまく活用できると、囲碁上達に非常に役立ちます。
また、
昔々の江戸時代の碁や、最新のタイトル戦、自分で打った碁などを並べてあれこれ想うことはとても楽しいです。
まずは、棋譜とは何なのか?について具体的に見ていきましょう。
棋譜とは?
棋譜とは、一言で言うと「対局内容の記録」です。
打った手順を数字で紙などに記した物が「棋譜」です。
例えば、
こんな感じです。
「碁罫紙(ごけいし)」という19路盤を書いた紙に、打った順番を数字で記していきます。
そうすると、
過去に打った碁を振り返ることができるのです。
棋譜のおかげで、
上手い人の打ち方を学んだり、
江戸時代にはこんな風に打っていたのか~などと、時代を超えて囲碁を楽しむことができます。
ちなみに上の棋譜は、
僕が教室の布石の解説用に作ったものなので、非常に短いです。
プロ棋士の棋譜は終局まですべて記してあるので、碁罫紙が数字で埋め尽くされます。
こんな感じです。
「最初から最後まで書いてある棋譜」=「総譜(そうふ)」
というものです。
なんというか、
すごいですよね。一桁の数字を探すだけでも一苦労です。
そして、上記のような「棋譜」を見ながら碁石を順番通りに並べていくのが「棋譜並べ」ということになるわけですが、
「総譜(そうふ)を最初から最後まで並べることができたら初段」と言われるくらい、プロ棋士の総譜を並べるのは難しいです。
とりあえず「へぇー」と思って下さい。
そして、
安心してください。
有段者の方でも「総譜は並べたことがない」という方は多いです。(総譜を並べることにこだわる必要もないです!)
総譜は、少ない数の用紙で記録を残すための形式であって、学習用の棋譜ではありません。
僕たちは棋譜並べを通じて上達したり、囲碁そのものを楽しみたいので、本記事では「学習のためにはどのような棋譜を並べれば良いのか?」についてを解説していきますね。
ただ、棋力別で結論が異なりますので、まどろっこしいかもしれませんが順を追ってお話しさせてください。
ということで、
まずは、棋譜並べの効果を見ていきましょう!
棋譜並べの効果
棋譜並べの効果は、何と言っても「囲碁の打ち方が分かる」ということです。
囲碁を覚えたての頃は、自由過ぎてどこに打てば良いのかよく分かりませんよね。
棋譜並べをすることで、囲碁ってこうやるのか~、という雰囲気を感じ取り上達していく効果があります。
関連記事: 【囲碁上達法】初心者から初段を目指すための4つの学習ステップ
この図は一例ですが、「敵と味方の距離感」や「陣地の守り方」などが分かってきます。
また、
手の意味が深く分からなくても、並べれば並べるほど感覚が良くなっていきます。
「良い石の形」を視覚的に習得する効果があって、段々とうまくなっていきますよ。
あと、
棋譜を最初から最後まで全て並べる必要はありません。(「終盤の勉強がしたい!」などの目的がある場合は別です。)
基本的には、疲れたら途中でやめてOKです。
ただ、
複数回並べるのは上達のために重要で、「30手までを3回並べる」などという風に決めておくのがオススメです。
僕は高校生のころ、毎朝5時くらいに起きて「本因坊秀策」という偉い人の棋譜を、50手までを3回並べていました。
当時級位者でしたが、そのおかげでそれなりに上達できたようです。
※「終盤」の基本的な打ち方から「整地」までをしっかり学びたい方はこちら
関連記事: 【囲碁19路盤の初心者さんが最初に読む記事】布石からヨセまでよく分かる!模範棋譜を徹底解説
いつ棋譜並べの効果が出るのか?
気になる「いつ効果が出るのか」ということですが、
僕は、初心者であればあるほど、効果が出るのが早いと思っています。
最初は棋譜を真似て打つだけで、急にうまくなった感じになります。
そして、
対局して経験を積むことで、その手の意味や良さがあとから分かってくるのです。
ただ、
棋力が上がれば上がるほど、棋譜並べの効果が出てくるのは時間がかかるようになっていきます。
これはどんなものでも同じだと思うのですが、うまい人がさらにうまくなるというのは大変なのです。
あなたが上級者以上の棋力でしたら「今日並べた棋譜の効果は、半年後に現れる」と思っているくらいがちょうど良いです。
また、高段者になってくると、棋譜は「研究材料」という立ち位置になっていきます。
真似して上達するというよりも、最新の打ち方や、プロ棋士の失敗の手などを探すようになってくるのです(囲碁には、悪手の少ない方が勝つという性質があります)。
ということで、
「棋譜並べ」は上達していくにあたって、棋力ごとに意味合いが異なるのです。
※棋譜並べそのものが楽しい!というのは全棋力共通です。
さて、
上達過程における棋譜並べの目的例を棋力別にまとめますと、
並べれば並べるほど効果が出る。
対局の時に「棋譜ではこんな感じで打っていた気がする」というくらいの軽い気持ちで少しずつ真似をしてみるだけで、段々と上達していく。
「この手はどんな意味なのかな?」と考えながら並べて、自分なりの解釈を増やしていく事で上達する。
初心者だった頃よりは、効果が出るのに時間がかかる。
こんな感じです。
効果の出るタイミングや度合いは棋力によって様々ですが、全員に共通して「棋譜並べ」はオススメの学習方法です。
さて、
ここは「囲碁初心者~級位者の方のためのサイト」です。
ここから先は、初心者・級位者の方がより効果的に上達していく棋譜並べの方法を解説していきますね。
初心者・級位者さんのための棋譜並べ
ところで、「初心者に棋譜並べは意味がない」という意見を見聞きしたことはありませんか?
これはどういうことかというと、先ほどお見せした「総譜(そうふ)」や「プロ棋士の棋譜」を並べるから効果が出ないのです。
初めて水泳を習う人に、いきなりバタフライターンを教えようとしているのと同じようなものです。
なので、
初心者・級位者の方は、
- 基本的な形で構成されている
- 手の目的が分かりやすい
- 難しい戦いが少ない
というような棋譜を並べることが大事です。
長らく入門教室・級位者教室をやっていますが、これはとても重要です。
最初は、勝つための勉強ではなく、良い形を打ちながら終局まで到達できるようになることを目標にやっていきましょう。
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20手~40手ほどの布石の棋譜集をお作りしました。
「序盤の打ち方の基本」を、30日間で学べるように構成してあります。
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棋譜並べのやり方
「棋譜がどんなものなのか?」というイメージはつかんでいただいたと思いますので、実際にどうやって「棋譜並べ」をしていくのかについて解説していきます。
※自分で棋譜をつける方法はこちら
関連記事: 【囲碁の棋譜の書き方】碁罫紙や石を取った後の読み方についても解説
必要な道具
棋譜並べに必要な道具はシンプルです。
碁盤と碁石
まずは、
当然の話のようですが「碁盤」と「碁石」ですね。
今はネット上で「対局」ができたり「棋譜」を見ることができる時代ですので、碁盤や碁石をお持ちでいない方もいらっしゃいます。
ただ、
僕の考えですと、棋譜を見るだけで済ましてしまうのはちょっと勿体ないです。
実際に碁石を並べていくのと比べて効果が薄いと思うのです。
棋譜は、
自分の目で見て、実際に碁石を持って、打つ場所を見定めて並べることが大事だと思います。
学習全般に言える事ですが、「五感」を使って学ぶことが非常に大切なのです。
碁石を持った時の感触や、
ジャラっという音、
碁盤に打ちおろした時の弾力や、
パチッという響きなどは、
脳にとても良い影響を与えてくれます。
碁盤・碁石をお持ちでいない方は、是非揃えましょう。
今はネットで注文して、家に届けてくれる時代です。便利ですね。
※おすすめの碁盤をまとめた記事はこちら
関連記事: 【初心者におすすめの囲碁盤・碁石セット】まずはこのセットで囲碁を学ぼう
上の記事では楽天市場で販売されているものを載せておきましたので、参考になさってください。
棋譜並べにおすすめの本
碁盤と碁石をそろえたら、次は並べる「棋譜」が必要ですね。
高段者の方は何を並べても良いと思いますが、初心者・級位者の方は少し注意が必要です。
先ほども申し上げましたが、プロ棋士の棋譜の中には非常に難解なものが多いのです。
「石の形を覚える」という効果はありますが、難しすぎると苦になってしまい長続きしづらいと思います。
特に、
先ほどお見せした「総譜」を並べるのは有段者でも大変ですので、手順を分割してくれている棋譜を並べた方が良いです。
ということで、
手順を分けて並べやすくしてくれている「棋譜並べ」の本を2冊ご紹介しておきますね。
上級者向け
「図解で分かる囲碁の序盤」はプロの棋譜が題材なので難易度は高いのですが、手順を細かく分割して載せてくれていて図解が分かりやすいです。手順を並べるだけでも勉強になるかと思います。
中級者向け
「白石勇一」先生の「やさしく語る 棋譜並べ上達法」は棋譜並べのやり方から解説してくれています。考え方が良く分かる一冊です。
上の2冊以外にも色々な本が出ていますので、是非探索してみて下さい。
初級者向け
手前味噌ではありますが、あわせて「序盤のお手本~特選30譜~」もお気軽にどうぞ。
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実際にどうやって並べるのか?
さて、
最後に具体的な棋譜並べのやり方についてお話します。
人によって色々な方法があるかと思いますが、僕が棋譜並べをするときのスタイルをお伝えしますね。
Step1:
碁石を右側(利き腕側)にまとめる。
黒石の碁笥を手元、白石の碁笥を奥に置きます。
Step2:
左手に棋譜を持つ。
(全集などの分厚い本を並べると腕が痛くなります。)
Step3:
棋譜を見ながら、順番に碁盤に打っていく。
あまり深く考えずに、黙々と並べます。
Step4:
疲れたり、もういいや、と思ったらやめる。
適当なところでやめても大丈夫です。
ちゃんと勉強になっています。
この辺りは色々な方法があると思いますので、独自の棋譜並べスタイルを研究してみて下さい。
ついでに、
碁石をかっこよく打つ練習もしましょう。
関連記事: 【碁石の正しい持ち方・打ち方】囲碁を打つ最初の一歩!動画で実演解説
まとめ
この記事で申し上げたいことは…
- 「棋譜」とは、対局内容の記録のこと
- 「棋譜並べ」とは、対局内容の記録を並べ返すことで、打ち方を学んでいく勉強方法のこと
- 「棋譜並べの効果」は棋力によって違うが、長い目で見て、コツコツやっていくことが大切だということ
- 碁盤と碁石、自分の棋力に合った棋譜を用意すること
- 決まったやり方はなく、自分のやりやすいスタイルを探すこと
まとめるとこんな感じです。
棋譜並べは上達のためにとても重要な学習方法ですので、是非実践してみて下さいね。
では、最後まで読んでくださりありがとうございました!
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佐藤洋佑