今回は、初心者の方向けに「囲碁とはどんなゲームなのか?」ということをお話していきます。
・囲碁ってなんだ?
・これから囲碁を始めてみよう
という入門の方や、
・囲碁の歴史や背景、別名が気になる
・タイトル戦などについても知りたい
という方のお役に立てれば幸いです。
まずは、囲碁のイメージやバックグラウンドから入っていって、最後にルールについて解説という順番でご説明していきますね。
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囲碁とは?
囲碁は、現代的に表現すると「二人で対戦するボードゲーム」の一つです。
戦国時代や江戸時代的には「武家のたしなみ」の一つと言えます。
戦のシミュレーションや、集中力の向上に囲碁が活用されていたのです。
戦国時代の大河ドラマなどでは、必ずと言って良いほど「囲碁を打つシーン」が出てきますね。
大河ドラマ「真田丸」では、毎回囲碁の場面がありました。
また、将棋やオセロと比較するとイメージが湧きやすいかと思います。
「王将を取ったら勝ち」という将棋とは違い、囲碁は「陣地を多く取った方が勝ち」というルールです。
「白 vs 黒」という図式の戦いはオセロと同様で、オセロは囲碁をヒントにして生まれたゲームだと言われています。
囲碁の道具
囲碁には「碁盤(ごばん)」と「碁石(ごいし)」という道具があります。
19×19のマス目が書かれた木の板が碁盤で、黒と白の丸い石が碁石です。
碁盤はこのような感じで、長方形の木の板に縦横19×19の直線が引いてあります。(19路盤といいます。)
これが碁石です。
碁笥(ごけ)という入れ物に、黒石と白石がそれぞれ入っています。
碁石を碁盤に、黒白一手ずつ交互に打っていくのです。
※囲碁は「打つ」と表現します。ちなみに将棋は「指す」で、オセロは囲碁からきているので「打つ」になります。
※手を講ずるという意味の「手を打つ」は囲碁が語源かもしれませんね。
碁石の持ち方については、こちらの関連記事をご覧ください。
関連記事: 【碁石の正しい持ち方・打ち方】囲碁を打つ最初の一歩!動画で実演解説
囲碁の歴史
囲碁は非常に歴史の深いゲームです。
人々の価値観や生活様式が変化していく中、囲碁はそのルールや形式をほとんど変えることなく現代も親しまれています。
僕たち人間の遺伝子も、何千年以上も前からほとんど変わっていないそうです。
囲碁は、人間の本能的な深いところとフィットしているのかもしれませんね。
※囲碁のメリットについては、こちらの関連記事をご覧ください。
関連記事: 【囲碁のメリットや魅力】脳にどんな効果があるのか?
起源と発祥地
囲碁の起源は「紀元前2千年」くらいだと言われています。
発祥地は中国だと言われていますが、起源と同様に諸説あります。
当時は碁盤を宇宙として、占星術などに使われていたそうです。
四隅を春夏秋冬に見立てたり、19×19が「361」ということで、暦にも近いのですね。
また、三国志演義に出てくるエピソードとして、蜀の関羽が毒矢の毒を体内から抜くための手術の際に、囲碁を打っていたという話が有名です。
関羽の精神力のすごさと、囲碁は麻酔代わりになるほど集中するゲームであるということを表現するときによく用いられるエピソードです。
日本の囲碁の歴史
日本には唐の時代に渡ってきたとされており、囲碁は貴族のたしなみの一つでした。文学作品にも登場するようになり、その後徐々に民衆にも広がっていきました。
清少納言や紫式部が囲碁をやっていたという話は有名ですね。(枕草子や源氏物語などにも、頻繁に囲碁が出てきます。)
戦国時代に入ってからはより盛んになり、先ほども申し上げたように「武家のたしなみ」として、色々な武将が囲碁を打っていたといいます。
武田信玄や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など、有名どころの武将たちは囲碁が強かったようですね。
特に、徳川家康は非常に強い愛好家だったようで、諸大名とのコミュニケーションツールとしても囲碁を打っていました。
そして、家康が囲碁を重用、重宝したことで現代の「プロ棋士」たちが存在します。
当時、家康に囲碁を教えていた「本因坊算砂(ほんいんぼうさんさ)」に碁打ちとしての役職(1588年)と俸禄(1612年)が与えられて、最初の公認プロ棋士が誕生しました。
また、「御城碁(おしろご)」という将軍の前で対局を披露する会も始まり、囲碁を打つことが仕事の一つになっていったのです。(やさしい表現をしていますが、当時の御城碁や争碁は家の存亡を賭けた命がけの勝負でした。)
囲碁が社会的に重要視され始めてきた江戸時代には、家元四家(いえもとよんけ)という囲碁の強い4つの家がありました。
- 本因坊家(ほんいんぼうけ)
- 安井家(やすいけ)
- 井上家(いのうえけ)
- 林家(はやしけ)
これらの四家が江戸時代の四強とされています。
そして、この中の本因坊家が長らく筆頭であり、現代の囲碁棋戦タイトルの一つである「本因坊」になっています。
四家で実力を200年以上競い合ってきましたが、本因坊家が頭一つ抜けていたようで、「本因坊秀策(ほんいんぼうしゅうさく)」の御城碁19連勝などが有名な話です。
※江戸時代に打たれた碁の記録(棋譜)を碁盤に並べるのはとても良い勉強方法ですよ。僕は高校生だったころに、本因坊秀策全集を並べていました。
関連記事: 【囲碁の棋譜並べ上達法】初心者さんに効果的な勉強方法!おすすめの棋譜をプレゼント中
さて、徳川家康が「囲碁は良いものだ」として価値を高めていったことから、現在のプロ棋士という職業が存在し、日々、研究が進められています。
反対に、徳川家康が「囲碁はやーめた」としていたら、現在の囲碁業界は存在しなかったかもしれません。
こう考えると、偉い人ってすごいなと思いますし、徳川家康が「なぜ囲碁を重宝し価値を高めていったのか」についてを考えることは、囲碁の存在意義を考えることにつながってくる気がしますね。
囲碁の7大タイトル(棋戦)
現代の日本には、7つの大きなタイトル戦があります。
それは、
- 棋聖(きせい)
- 名人(めいじん)
- 王座(おうざ)
- 天元(てんげん)
- 本因坊(ほんいんぼう)
- 碁聖(ごせい)
- 十段(じゅうだん)
これらの棋戦です。特に、上から2つの「棋聖」「名人」はタイトル獲得までに道のりが長く、とても名誉のある称号です。
棋聖戦と名人戦の2棋戦は「7番勝負(先に四回勝った人の勝ち)」で、一局を2日かけて打ちます。(二日制といいます。)
その他の7大タイトル戦である王座、天元、本因坊、碁聖、十段は「5番勝負(先に三回勝った人の勝ち)」で、1日で一局を打ち終えます。(一日制)
このように、勝負を決するまでに使う時間にも随分と違いがあるのです。
また、棋聖戦と名人戦の挑戦者になるためには、まず、予選のトーナメントを勝ち進み、挑戦者を決めるためのリーグに入る必要があります。(リーグ入りできた棋士は一流の棋士であると認識されます。)
そして、そのリーグを勝ち抜いた人が、タイトル保持者に挑戦できるのです。
非常に長い道のりですね。
タイトルを獲得するためには、勝つか負けるか確率50パーセントの試合を何連勝もする必要がありますので、気の遠くなるような話です。
さて、
そのような囲碁の世界に対して、少しでも親近感を抱いていただけると良いなと思いますので、各タイトル戦の名前の意味や歴史などを簡単に解説していきますね。
棋聖(きせい)
棋聖戦はタイトル序列1位の棋戦で、1976年にスタートしました。
「棋聖」という言葉は、もともと江戸時代の強豪「本因坊道策」と「本因坊丈和」に対して使われていた称賛の名詞でした。
それを、囲碁の総本山である「日本棋院(にほんきいん)」が棋聖戦という形でタイトル戦の一つにしたのです。
名人(めいじん)
名人戦はタイトル戦の序列2位の棋戦で、1961年にスタートしました。
「名人」という言葉は、織田信長が本因坊算砂の囲碁の実力を称える言葉として「そちはまことの名人なり」と言ったことから生まれたと言われています。
その後は、江戸時代の最高段位=九段=名人とされ、天下に唯一人とされていました。(江戸時代には他にも、半名人や上手という位がありましたが、複数人いました。)
そして、現代でも唯一枠の名人というタイトルを競い合っているのです。
王座(おうざ)
王座戦はタイトル戦序列3位の棋戦で、1953年にスタートしました。
囲碁の棋戦としては本因坊戦の次に歴史が長く、棋戦名の中で唯一、一般的に使われている言葉です。
王座とは王様が座る椅子のことですからね。
将棋の棋戦の王座戦と足並みをそろえて、同年に開催されました。
天元(てんげん)
天元戦はタイトル戦序列4位の棋戦で、1976年にスタートしました。
天元とは
天元とは、碁盤の中心にある点のことで、囲碁発祥の地中国においては「天子」や「君主」のことを指します。
この図は碁盤を真上から見たイラストです。
そして、中心にある交点が「天元(てんげん)」なのですね。
これがタイトル戦「天元」の名前の由来です。
本因坊(ほんいんぼう)
本因坊戦はタイトル戦序列5位の棋戦で、1939年にスタートしました。
「本因坊」という言葉は、この記事の中にもすでに何回か名前の出ている「本因坊算砂(ほんいんぼうさんさ)」が元となっています。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に認められた、プロ棋士の原点とも言える「本因坊」をタイトルの一つとしたのです。
碁聖(ごせい)
碁聖戦はタイトル戦序列6位の棋戦で、1976年にスタートしました。
碁聖という言葉は、元は棋聖と同義で、本因坊道策や本因坊丈和を称賛するに際に使われていた言葉です。
個人的には、囲碁独特の言葉として最も強そうな感じがします。(棋聖や名人のタイトルは将棋にもありますが、碁聖は囲碁だけです。)
十段(じゅうだん)
十段戦はタイトル戦序列7位の棋戦で、1961年にスタートしました。
囲碁の最高段位である「九段」のさらに上の「十段」ということで、タイトルの一つになっています。
九段から昇段して十段になるわけではなく、他のタイトル戦と同様に決勝挑戦手合いを行い、毎年一人しか「十段」はいません。
囲碁タイトル戦のまとめ
まとめますと、歴史ある代表的なタイトル戦は以下の7つです。
- 棋聖(きせい)
- 名人(めいじん)
- 王座(おうざ)
- 天元(てんげん)
- 本因坊(ほんいんぼう)
- 碁聖(ごせい)
- 十段(じゅうだん)
各棋戦に対してスポンサーがついており、スポンサーさんの意向により棋戦の状況や意味合いは様々です。
どの棋戦にも歴史があって、調べてみると面白いですよ。
本記事がそのきっかけになれば幸いです。
さて、
次は別名についてです。
囲碁の7つの別名
囲碁には色々な物語があり、囲碁を表現する別名がいくつもあります。
囲碁の歴史や性質をよく表している別名を7つご紹介していきますね。
別名①:棋道(きどう)
囲碁は礼節を重んじ、道を極めるという性質から「棋道」とも言われます。
「棋道賞」という賞や、「棋道」という囲碁雑誌もありました。
別名②:烏鷺(うろ)
黒石を烏(からす)、白石を鷺(さぎ)に見立てて「烏鷺」とも言われます。
囲碁での勝負のことを「烏鷺の争い」と表現します。
別名③:爛柯(らんか)
中国の「述異記」にある物語の中に、「木こりが森で仙人たちの碁を見ていたら、いつの間にか斧が腐っていた」という話があります。囲碁の対局を、時間を忘れて見てしまうということです。
これが「爛柯」というエピソードで、囲碁の別名の一つなのです。
別名④:方円(ほうえん)
碁盤は四角く(方)、碁石は丸い(円)ことから「方円」とも言われます。
囲碁は四角くて丸い不思議なゲームなのです。
別名⑤:橘中の楽(きっちゅうのらく)
橘はミカンのことで、ミカンを剥いたら中に二人の老人がいて、囲碁を楽しんでいたという中国故事があります。
ミカンの中での楽しみは囲碁だということで、「橘中の楽」とも呼ばれるのです。
別名⑥:手談(しゅだん)
囲碁は口でおしゃべりをするのではなく、手で会話をしているという意味から「手談」とも言われます。
対局者同士は、囲碁を通じてコミュニケーションを取っているのですね。
別名⑦:坐隠(ざいん)
囲碁を打つということは、座っていながらにして俗世間から逃れて暮らすこと(隠遁:いんとん)ができるという意味で「坐隠」とも言われています。
世説新語(せせつしんご)という中国の逸話集の中に、「王中郎、囲碁 を以て坐隠とす」という一節があるそうです。
囲碁の別名のまとめ
まとめますと、
- 棋道(きどう)
- 烏鷺(うろ)
- 爛柯(らんか)
- 方円(ほうえん)
- 橘中の楽(きっちゅうのらく)
- 手談(しゅだん)
- 坐隠(ざいん)
このように、囲碁の別名には中国の故事や物語が関わっていることが多いようです。
また、囲碁を打ってるときにはものすごく集中しているということや、コミュニケーションのための一つの手段であることも強調されています。
これらは、現代においてもとても大事な要素だなと思います。
「今日は爛柯的に集中して囲碁を打とう」とか、「手談で何を伝えようか」みたいに考えると、囲碁に対する視点が増えそうですね。
囲碁のルール
最後になりますが、囲碁のルールについてです。
これまでの、囲碁の道具や歴史、別名の話から、何となくイメージを膨らませてルールをご確認下さい。
- 線と線の交わっているところ(交点)に打つ
- 一手一手交互に打つ
- 相手の石を囲むと、その石を取れる
- 最終的に陣地の多い方が勝ち
ざっとですが、これが囲碁の主なルールです。
石を兵隊さんに見立てて、陣地を国の領土に見立てると、兵隊さんたちに戦ってもらい、できるだけ広い領土を確保するというゲームになります。
戦国時代に重要視された理由がよく分かりますね。
囲碁のルールや打ち方などについて詳しく見てみたい方は、囲碁入門①の記事をご覧ください。各記事の下のリンクを順に見ていくと、囲碁の打ち方が分かるように構成してあります。
関連記事: 【囲碁入門①】難しいルールを簡単に解説!初心者向けに4つのルールをまとめた
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では、最後まで読んでくださりどうもありがとうございました!