囲碁インストラクターの佐藤です。
今回は囲碁オンライン講座内で、
「猫の顔」「犬の顔」「馬の顔」についてのご質問をいただきましたので、それぞれについて解説をシェアします!
形を知っているだけでお得な話ですので、是非ゆっくり見ていってください。
「猫の顔」について
図1
一間トビがもともとある状態から、
黒1(もしくは1’)と打つ手が「猫の顔」です。
目と鼻を碁石で表現した感じで、猫の顔に見えなくもないですね。
さて、
この手は、石の動きとしてはあまり働きがよくありません。
石が三つある割に、あまり先へ進んでいないからです。
また、敵がいないのに「カケツギ」を作ってる状態で、非効率なので普通は打ちません。
しかし、
ある状況下ではこの手が非常に良い手になるのです。
それは…
「猫の顔」の実戦例
図2
例えばこんな状況です。
ここで白が…
図3

白1と打ち込んできた時です。
黒としては「一間トビ」をして守っているところに、
白が無理やり入ってきた状況ですね。
こんな時に、
図4

白1の二つの逃げ道を同時にジャマする手として…
図5

黒2の「猫の顔」が良い手なのです◎
図6

白が3と出ようとしてきても、
黒4と止めて、ちょうどカケツギの形になりますね◎
また、
図7

白5と打って、右の白とつながろうとしてきても…
図8

黒6、8と打って、
二線の白を取りつつ、×の場所をカケツギで守ることができています。
図9

こうなれば、
白を丸ごと囲んで取れています◎
黒は大成功ですね。
図10

白1の打ち込みに対して、
黒2の「猫の顔」が好手であるということと、
同時に、これが黒○の一間トビが良い理由になります◎
どうでしょうか。
これに関しては、講座本編のNo.9【ツケ引き定石その後】~打ち込みの防ぎ方~
で詳しく解説しますね。
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「犬の顔」について
図11
では、次は「犬の顔」について見ていきましょう。
黒1が犬の顔です。
さっきの猫よりも顔が長くなりましたね。
分かりづらいので、
実際に犬の顔を並べてみましょう。
図12

うちの犬です。
黒いので並べてみました。
犬の顔に見えてきましたか?
図13

失礼しました。
「犬の顔」の仕組みはケイマとケイマですね。
黒1がどちらかの黒とつながっています◎
効率良く、且つ、手堅くつながっているのが「犬の顔」のよいところなのです。
さて、具体的には…
図14

白が2と分断しようとしてきても…
図15

黒3と打って、
×の場所がちょうどカケツギで守れていますね◎
図16

白2で反対側から近づいてきても、
同様に黒3です◎
黒はつながっています。
では、
図17

白2ときたらどうでしょうか?
この手が黒にとって一番嫌な手だと思いますが、
図18

黒3のオサエでOKです◎(反対側のオサエでもOK)
ここに打つことによって、
図19

AとBが見合いになります◎
どちらかに打ってつながることができるのですね。
つまり、
図20

白が4と切ってきたら、
黒5や黒5’で白一子を取りながらつながりますし、
反対に、
図21

黒3に対して、
図22

白4と逃げてきたら、
黒5と打ってつながることができます◎
図23

このようにつながり、
黒△は場合によっては、切り離されてもOKなのです。
(犬の顔に打った、黒1の石がつながっていることが大事)
では、具体的にどのような場面で犬の顔を使うのか?
を見ていきましょう。
「犬の顔」の実戦例
図24
このような白の構えがあったとします。
ここに黒番で侵入したいと思うのですが、
図25

黒1のような入り方がGoodです◎
(他にも色々な入り方があります。)
この手は、
図26

次に黒△の「スベリ」を狙っているという点で、良い入り方になります◎
では、
白が、黒△のスベリを打たせないように打つとしたら、
図27

白2の鉄柱が良い手です◎
黒はその間に、
図28

黒3が、
黒1と同じ理由で良い手になります。
図29

次に黒△のスベリを狙っていますね。
図30

対する白も、
同じように、白4の鉄柱が最も手堅い守り方になります。
さて、
「犬の顔」の話でしたね。
このような時に使います。
図31

黒5が犬の顔です◎
このように打てば、しっかりとつながりながら中央へ脱出できるのです。
そして、さらに…
図32

今後、
黒 A や黒 B に打って、どんどん犬の顔を作ることができます◎
犬の顔は「眼」も作りやすいので、
ピンチの時に有効です。
是非意識して使ってみて下さい。
「馬の顔」について
猫、犬、ときまして、最後は「馬」です。ズバリ
図33

黒1が「馬の顔」です◎
「大ゲイマ」ですね。
この手も、
図34

「犬の顔」と同様に、
どちらかの黒とつながることができます◎
たとえば…
図35

白が2と近づいてきたとしても、
図36

黒3ですね◎
図37

続けて、白が4ときても黒5とおさえて、
しっかりつながることができます◎
×の場所がちょうどカケツギになっています。
OKですね。
では、
黒の馬の顔に対して、
図38

白2ときたらどうしますか?
黒はつながろうとすることが大切です。
図39

白の左右の進行を止めるように、
図40

黒3のオサエです◎(反対側のオサエでもOK)
図41

白が4ときても、
黒5のオサエですね。
図42

白が続けて白6と切ってくるかもしれませんが…
ここで黒は落ち着いて、
図43

黒7のノビがGoodです◎
これで白二子を取れているのです。
黒△がちょうど「ゲタ」になっていますね。
(白が逃げられないということを確認してみて下さい。)
白を取る事で、
馬の顔はつながりました!
図44

黒1が馬の顔で、
白2に対しては黒3(もしくは3’)と対応すればつながっているのです。
さて、
もう一つだけ白の抵抗をやりましょう。
図45

白4ときたらどうしますか?
白4は「ハネ出し」という手です。
ハネ出しに対しては…
図46

黒5のキリです◎
「ハネ出しには切り」と覚えてしまっても良いくらい、大事な一手ですね。
さて、
このように切ることによって、
黒から狙いが二つ生じました。
それは、どことどこかというと…
図47

黒 A と黒 B です◎
どちらかに打って、どちらかの白を取る事ができますね。
具体的には、
図48

白6と逃げてきたら、
黒7で白一子を取りながらつながりますし、
反対に、
図49

白6でこちらの一子を逃げてきたら、
黒は7と打って、反対側の白一子を「シチョウ」で取る事ができます◎(もとの黒1がつながっていればOKなので、黒△は場合によっては切られても良い。)
このように、
「馬の顔」はシチョウが関係します。
なので、近くに敵がいる時にはキケンな場合があるのです。
敵が近くにいたら「犬の顔」
敵がいなかったら「馬の顔」
というように使い分けましょう。
では最後に、
馬の顔を使う場面の一例を見て終わりにしましょう!
「馬の顔」の実戦例
図50
こんな場面で黒番です。
一間トビで中央へ飛んでいる黒から、
図51

黒1と打つ手が良い手で「馬の顔」ですね◎
白とも程よく距離を取っています。
敵と2路離れているので、
黒も2路、間をあけて進んで大丈夫、というような感覚です。
そして、
対する白は、
図52

白2が良い手になります◎
「ツケ」ながら「犬の顔」ですね。
白2と打つと、
図53

このような接近戦になり、
最終的に、白を強化することができました◎
白2の「犬の顔」のおかげなのです。
関連記事:【囲碁の中盤で役立つ!】相手が接近してきた時の戦い方
どうでしょうか?
「猫」「犬」「馬」とそれぞれ解説してみました。
是非、実戦で試してみて下さい。
では、どうもありがとうございました。
また何かありましたらよろしくお願いします!