今回は、「カケ」と「カタツキ」について解説していきます。
どちらも相手の模様や陣地の拡大を制限する手筋なのですが、「味方が近くにいるのかどうか」という違いがあります。
カケとカタツキの具体的な打ち方と、役割の違いを学んでいきましょう。
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「カケ」とは?
カケとは、「味方の石と連絡しつつ、相手の石の斜めの場所に打ち、発展を抑える手」のことです。
具体的に見ていきましょう。
カケの例①:星の一間バサミ定石
いつも使っている「星」の戦いの中にも「カケ」が出てきます。
たとえば、
黒1のカカリに対して、白2の一間バサミをされた時です。
白2の一間バサミは「三線」のハサミであることが特徴ですね。
ここで黒は、Aの三々入りとBの一間トビが代表的な応手です。
黒Aの三々に入ると…
こういう展開になります。
黒は「黒△を捨てて隅の陣地をもらう」という結果になりましたね。
この定石については、 【星の基本定石】囲碁初心者さん必見!定石の意味を理解して最短で上達 を参考になさってください。
今回のテーマである「カケ」が出てくるのは、黒がBの一間トビをした場合です。
白2と一間バサミをされた時に、
黒3と一間トビをします。
この手は、
黒△を助けつつ、次に黒Aと黒Bの二点を狙っています。(「黒3はAとBを見合いにしている」と表現します。)
さて、
対する白は、辺の石よりも隅の石の方が大事ですから、
白4と打って、隅の白を脱出します。
この時に黒は、もう一つの狙いであった黒5を打つわけですが、
この黒5が、白×に対する「カケ」です。
イメージとしては、
こんな感じの手です。
黒は「大ゲイマ」で連絡を取りながら、白×の二つの進行方向に対して、一歩先に進んでいます。
また、白×を取り囲もうというイメージもありますね。
こんな感じです。
白も、白×を取られたくありませんので、
白6~12と抵抗して、辺に陣地を作りつつ脱出します。
黒としては、
白を三線に制限しつつ、中央に向けた厚みを作りました。
これが「カケ」の成果なのですね。
この定石については、「囲碁オンライン講座」で詳しく解説していますので、参考になさってください。 【無料公開!】1級・初段を目指す囲碁オンライン講座と上達のコツ
カケの例②:小目の定石のその後
今度は「小目」から「カケ」が出てくる例を見ていきましょう。
小目の定石として、
白1~黒4が実戦でよくある展開です。
この状況で、お互いに根拠(石が生きるために十分な陣地)ができたので、他の大場を打ち合います。
右上のエリアはお互いに放っておいて、他の広いところへ打つのですね。
そして、黒番が回ってきたとします。
この形で黒番ということですね。
定石その後の打ち方として、黒から…
黒1が良い手です。
そして、これが「カケ」なのですね。
こんな感じで、
黒は「ケイマ」で連携しつつ、白よりも一歩先に進んでいます。
OKでしょうか。
このあとの展開としては、
このような展開が一例です。
こうなると、
上辺の白地の発展を止めつつ、右辺に黒模様を作ることができました。
「厚み」と「模様」の違いが気になったら、 【厚みと模様の違い】「厚みを囲うな、近づくな」の格言も解説 をご覧ください。
カケの例③:目外し(もくはずし)の定石
最後の例として、「目外し」をご紹介します。
あまり実戦で打たないかもしれませんが、「カケ」を知っていると簡単に打ち進めることができるのでオススメです。
これが「目外し(もくはずし)」という隅の占め方です。(黒△も目外しです。)
この手は、
矢印の方向へ「力」が向いているイメージの手です。
辺に寄っているということですね。
その分、
このように、白に小目に入ってこられるのが弱点です。
隅は白地になってしまうのです。
しかし、黒の目的は辺への発展でしたから、隅の陣地のことは気にせずに…
黒1の「カケ」が良い手です。
こういうイメージですね。
このあとの展開としては、
白2~黒5などがよくあります。(目外しの定石の一つです。)
黒は、黒1のカケを打ったおかげで、
右辺に黒模様ができたのですね。
どうでしょうか。
是非、碁盤に並べてみて下さいね。
「カケ」と「カタツキ」の違い
最後に「カケ」と「カタツキ」の違いについてお話します。
「カケ」は、「味方の石と連絡しつつ、相手の石の斜めの場所に打ち、発展を抑える手」でしたね。
それに対して「カタツキ」は、「相手の石の斜めの場所に打ち、発展を抑える手」です。
カケ⇒味方とつながりながら
カタツキ⇒単独で
というところが違いです。
具体的に見ていきましょう。
こういう局面があったとします。
ここで黒番で、
黒1が「カケ」ですね。
ケイマでつながりながら、白よりも一歩先に進んで、白の発展を抑えています。
カタツキとは?
では、「カタツキ」とはどんな手でしょうか。
こんな局面があったとします。
ここで黒番で、
黒1が「カタツキ」です。
この手は、
味方との連絡はありませんが、白よりも一歩先に進んで、白の発展を抑えています。(この考えは「カケ」と一緒ですね。)
このあとの展開としては、
たとえばこんな感じです。
黒9まで、上辺の白地の発展を抑えつつ、中央に脱出することができました。
このように単独で、白模様を制限する手が「カタツキ」なのです。
カタツキのメリット
「模様を制限する手」というのは良さが分かりづらいですよね。
上の図を見ても、「白地がどんどん増えている…!!」と感じがちです。
ということで、もう少し具体的に「カタツキ」の良さについて解説しておきます。
先ほどの局面で、黒がカタツキを打たずに上辺の白模様を放っておくと…
こんな風に、白模様が大きくなってしまうかもしれません。
白〇のたった4手を打っただけで、
こんなに白地が大きくなってしまいました。
こうならないために、
黒1のカタツキは良い手なのです。
黒9まで、上辺の白模様の発展を未然に防ぐことができました。
OKでしょうか。
まとめ
以上をまとめますと、
カケ=「味方と連絡しながら、相手の斜めの場所に打って、発展を抑える手」
こういう手が「カケ」ですね。
そして、
カタツキ=「単独で、相手の斜めの場所に打って、発展を抑える手」
ということで、
黒1のような手が「カタツキ」になります。
- カケ⇒自分の模様を拡大しつつ、相手の陣地の発展を抑える。
- カタツキ⇒大きくなりそうな相手の模様の発展を抑える。
是非、役割や目的を意識しながら試してみて下さい!
では、最後まで読んでくださりありがとうございました。
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