こんにちは!
囲碁インストラクターの佐藤です。
今回は「囲碁オンライン講座」のサンプルとして、布石で有効な「割り打ち(ワリウチ)」についての講座をシェアします。
「ツメ」を打つ時のコツにも注目しながらご覧ください!
※似た囲碁用語に関する記事もどうぞ。
打ち込みについて: 【囲碁の打ち込み】実戦で役立つ!相手の陣地を荒らす手筋
詰碁(つめご)について: 【詰碁とは?】初心者の方が上達するための詰碁のやり方とおすすめの本
本記事のメインテーマである「ワリウチに対するツメの定石」の解説は以下です!
こんにちは。
今週もよろしくお願いします。
今回は、「割り打ち(ワリウチ)」について解説していきます。
Step1:「ワリウチ」の全体像を見る
Step2:本編で理由を確認
という順番で学習していきましょう。
なのでまずは、
Step1:「ワリウチ」の全体像
をご覧下さい。
見ていただいたところで…
Step2:本編スタート
図1
このような白の構えに対して、
黒番でどうしましょう。
という話ですね。
どうしますか?
タイトルの通り
図2
このように
「ワリウチ」するのが良いのですが、
・なぜこの手が良いのか。
・この後はどうなるのか。
を、今日はやっていきたいと思います。
まず、ワリウチ以外の手について
図3
例えばこれですね。
この黒はどうでしょう。
白をジャマしようという気持ちは伝わってくるのですが、
ちょっと白に近づき過ぎですね。
立場を変えて、
次白はどのように打ったら良いでしょうか。
こんな風に
図4
白2と挟むのが良い手です。
黒は「ヒラキ」が打てませんね?
ヒラキが打てない⇒地がない⇒眼がない⇒危ない
という悪循環が始まってしまいます。
そして、黒が逃げている間に白地が増えてしまいました。
この状況は黒がまずいです。
黒は、強い白△の構えに近づき過ぎました。
「強い石に近づき過ぎない」
という良い例です。
なので、反省して
図5
こっちに近づいてみましょう。
右上の白は左上の白の構えよりも弱いので、
この黒1(カカリ)はGoodです。
しかし
次白番で、
上辺を大きく取りたいと思ったら…
図6
白2とハサミます。
左上のシマリから勢力を広げつつ、黒を攻撃しています。
挟まれた黒が
図7
三々に入ると
図8
こうなります。
これで右上の戦いは一件落着で、部分的には互角なのですが、
図9
上辺の白がとても大きくなってしまいました。
矢印のようなイメージで拡大していきます。
ということで
色々考えると、
「ワリウチ」が楽ですね。
図10
A か B のどちらかに「ニ間ビラキ」できます。
図11
白2の詰め(ツメ)には黒3◎
白が反対側から詰めてきても、
黒は二間ビラキ◎
図12
こういう事ですね。
では、ワリウチをするとして
ワリウチの仕方が他にもあります。
どこでしょう?
いくつかありますね。
とりあえず一つ目は
ここ
図13
この手も左右どちらかに「二間ビラキ」できるので、
ワリウチです。
ですが、
実はあまりオススメではないのです。
この後どのような展開になると思いますか?
ちょっと予想してみましょう。
白がどちらから「詰め(ツメ)」を打つのか、ですね。
黒が左に寄っているので
図14
BエリアよりもAエリアの方が狭いです。(このように広さを見るのがツメのコツです!)
ということは
白はどちらからツメを打つかというと…?
相手を狭い方に追いやる◎
図15
白2です。
黒は3と二間ビラキできますが、
あまりゆとりがありません。
この後白が
黒の二間ビラキを攻める感じで…
図16
4などと打つと
黒を圧迫しながら、右上の模様が大きくなります。
さらに
図17
白△の「カケ」
という手も狙っています。
図18
黒はカケを打たれないように
黒5などと抵抗しますが…
この後の展開を考えてみましょう!
本編の話とは少しそれますが、
よく出てくる形ですのでやっておきましょう。
黒5の意図を考えると次の白も分かってきます。
黒5は
図19
白とくっつきつつも、
こう進もうとしています。
なので白は
図20
白6の「ハネ」です◎
黒5が「ツケ」で白6が「ハネ」ですね。
「ツケにはハネよ」という格言がありますが、このことです。
それで、次の黒ですが
白6の狙いを考えると
次の黒が分かってきます。
図21
白6は次に白△と打って、黒をアタリしようとしています。
これを想像して…
図22
黒7と打てると Good ◎
これが「ノビ」ですね。
「ハネにはノビよ」です。
さて、次の白は?
これも、黒の狙いを考えると次の白の手が見えてきます。
黒の狙いは
図23
黒7とノビを打ちながら
黒△の分断を狙っています。
白×が切り離されてしまいますね。
黒7のノビの狙いは、黒△のキリということですので
図24
白はつなぎます◎
「ノビにはツナギ」です。
(格言の本には載っていないのですが、格言にしてしまいましょう。)
「ツケにはハネ」
「ハネにはノビ」
「ノビにはツナギ」
これが、ツケを打った場合の一連の流れです。
例外ももちろんありますが、ひとつの目安として知っていると便利です。
それで結局、
図25
接近戦をしながら
黒は赤矢印の方向に黒地をのばし、
白は黒をおさえながら、右上の模様を大きくしました。
この後
図26
黒9と脱出しますが、
白は次どうしますか?
広く見て…
欲しいのは右上なので…
芯を入れます。
図27
白10が良い手です◎
こう打っておくと、
隅がしっかり白地になります。
今の手順をもう一度載せますと
図28
こうですね。
是非実際に、碁盤で並べてみて下さい。
黒は取られたりはしないのですが、
白に攻められて、右上の白が大きくなってしまいました。
図29
このワリウチは、
左によってしまっていて、あまり良くありませんでした。
では、もう一つのワリウチはこれ
図30
今度は右に寄っています。
この手も、左右どちらかに二間ビラキできるのですが、この後の展開は…?
図31
Aエリアよりも
Bエリアの方が狭い、ということで
相手を狭い方に追いやる、と考えて
左からツメを打つ
図32
白は広い方から詰めて
黒を狭い方に追いやります◎
黒は二間ビラキできますが
こういう時
図33
白4が良い手です。
「コスミツケ」ですね。
黒を攻めています。
図34
こんな感じ。
黒地(赤エリア)が広がらないように
左右の白で挟んでいるイメージです。
相手の陣地が狭い時に
白4のコスミツケは有効です◎
図35
黒も、コスミツケには黒5のノビで強化して
白6となります。
図36
すると、やっぱり黒地は狭いです。
赤丸くらいしかありません。
なので
図37
黒7と広げる必要があり、白はそれに合わせて白8と一間トビするだけで、左上の白模様が大きくなります。
黒は嫌ですね。
図38
この石の流れもよく出てきますので、碁盤で並べてみて下さい。
それでやっぱり、
黒が取られることはないのですが、今度は左上の白が大きくなってしまいました。
ワリウチはワリウチでも、偏るとあまり良くないのです。
そして、あともう一つワリウチがあります。
これ
図39
四線にワリウチです。
A か B に「ヒラキ」が打てます。
しかし
四線は足元を狙われます。
白2とツメを打たれ、
図40
黒3と二間ビラキした時
この黒の状況はどうなっているでしょうか?
一言で言うと…
両
スソアキです。
図41
A と B 両方の裾があいていて、どちらかから白に侵入されてしまいます。
これを「両スソアキ」といって、黒はあまり良くない状況です。
しっかり陣地がある、とは言えない形なのですね。
色々なワリウチをやってみましたが、やっぱり三線の真ん中が安心です。
図42
この位置から一路ずれるだけで、その後の景色が変わるのが面白いところです。
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では、この後の展開についてです。
今回は白2と、こちらから詰めた場合を考えましょう!
図43
白が左からきたので、
黒は
図44
3と「二間ビラキ」する。
というのが、基本的な考えです。
この後
白4とコスミ、
黒5と補強し、
白6と大ゲイマ、
という展開がありそうです。
ところで、
右上の白の構えに黒は入れますか?
例えば、黒 A と三々に入って二眼できるかどうか、ということですが…
この、コスミのある形には入れないのでしたね。
星のシマリ(白6)とコスミ(白4)で隅は陣地になります。
関連講座: 【囲碁の星の基礎】星で隅を守る方法 詳細は関連講座の【星の守り方】を見ていただく事にして、上の図はなんだか白地が大きい気がします。
ということで黒は、ここまで頑張る
図45
黒3がgoodです◎
星へのカカリを兼ねています。
白が4と受ければ
図46
このような感じで
図47
黒もなかなか良いですね。
ただ、心配事があって
白4の打ち込みです。
図48
この後の黒を考えましょう。
どう打てば良いでしょうか。
白が多いところなので注意が必要です。
まず、三々に入ってみますか。
図49
三々に入ると
こんな感じの展開になります。
図50
右上の戦いは、三々入りした時の展開の一つです。
しかし、
白14などと打たれると最初のワリウチの石が孤立してします。
この展開は上辺の白が大きく、黒があまり良くないということで、
さかのぼって…
黒5でツケてみましょう。
図51
これはどうなりますか?
案外、実戦で出てくる状況だと思います。
白番ですね。
実は白チャンスです。
図52
白6とハネ出す。
黒のケイマ&ケイマのツケは薄いのです。
この後黒7と切りますが
図53
白は…
図54
白△をはみ出す感じで、白8です。
黒をアタリにしながら、外に出ようというイメージです。
図55
黒9と逃げている間に白10で脱出しました。
すると
図56
黒も11とゲタにすれば全滅は避けられますが、白12と黒×を囲んで、
これはどちらが有利かというと…?
白が有利なのですね。
白○を取った黒よりも
黒×を取った白の方が、陣地が大きいです。
そもそも、黒×は頑張って三間ビラキした石でしたので大切な石です。
結局、黒5のツケはうまくいきませんでした。
図57
また戻りまして
図58
白4の打ち込みに対して、黒はどう打てば良いでしょうか?
結論は…
図59
黒5の「一間トビ」です。
なんだかぼんやりしている手ですが、黒△の一間トビは
図60
次に A と B の二通りの攻撃をみています◎
黒は A と B のどちらかを打てるということですね。
白6とくれば
図61
黒7です。
さらに続けて白8と辺の黒を取ってきても
図62
黒9と隅の白を大きく取る事ができます。
この状況は黒が Good です。
ですので白6は
隅の白を守る。
図63
そうしたら、黒は7ですね。
この手で白△は取れています。
三間にヒラキを打って大丈夫だった、ということになります。
ところで、本当に白△は取れているのでしょうか?
と、いうことで
図64
白1と動き出したら??
をやってみましょう。
白が出ようとしていますから、黒は
止める
図65
黒2ですね。
白と黒が接近していますから、ぴたっと止めます◎
次いきますよ
図66
白3ときたら?
白3は A と B をみた抵抗です。
黒はどちらを止めるか、ということになります。
いきます。
Bの方を止めると、
図67
白5と出られて、黒△が囲まれてしまいます。
黒△が弱いのですね。
なので、
こちらを止めます。
図68
黒4と止めて、
白5とさらに出てきても、黒6と頑張って止めます。
黒のナナメがキケンな気もしますが、白がどこに打っても「両アタリ」にはならないというところがポイントです。
白7とアタリしてきても
図69
黒8とつなげば大丈夫です。
白9にも
図70
黒10で OK ですね。
では、
白11ときたら??
図71
次も意外と大事ですよ。
黒は
白が脱出しないようにおさえる◎
図72
白を取るのが目的だったので、白が出ていってしまうと困ります。
黒12と白の進行方向を止めて、白△との連絡を断ちます。
且つ、×の二線のキズを狙っているのがポイントですね◎
狙われている白が
図73
白13とキズを守ったら、黒も14と守って白を封鎖できています◎
図74
さらに、白15ときても黒16で封鎖です◎
ついに次で終わりです。
図75
白17ときたら…?
あと一手、黒はどこですか?
白を一眼にするのですよ。
あ、白が二眼にならないようにするのです。
というと
ここです。
図76
三目中手◎
(⇒この場所に白が打つと、白二眼できてしまいます。)
ここで死活だと思うかどうかが重要でした。
封鎖が完了しているので、二眼作らせなければ取れる、という状況なのです◎
これで、ちゃんと全部取れているのですよね?
一応
図77
この後白△と二回打って黒を取ってもこの状態ですから、一眼ですね。
白を丸ごと取れているということです。
お疲れ様でした。
まとめますと
図78
ワリウチして
図79
こちらから詰めてきた時に、
黒3と三間で頑張る。
図80
白も頑張って打ち込んできたら
図81
黒5の一間トビが好手でした。
白6と受けている間に
図82
黒7で、白一子は取れています◎
ですので、白も逃げずに
図83
打ち込んだ石に役に立ってもらいます。
白8のコスミツケで、先手で隅を強化し
白10と辺へ展開して一件落着◎
この展開がお互いにとって良く、定石になっています。
色々やりましたが、定石がどのようにしてできあがっていくのかというのが分かってもらえると嬉しいです。
では次回は、「小目の定石」についてお送りしたいと思います。
どうもありがとうございました。
また来週もよろしくお願いします。
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