「コウ」とは、囲碁の大事なルールの一つです。
今回の記事では、コウが初めての方、コウがよく分からないなぁという方にも分かるようにしっかりと解説致します。
- 「着手禁止点」のルール
- 「コウ」とは何か?
- 「コウの争い方」
- 「コウダテ(コウ材)」とは何か?
ということをお話ししていきます。ゆっくりご覧ください!
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では、以下でコウについてを学んでいきましょう。
囲碁のコウとは
囲碁を打っていると、同じ形でのアタリがずっと続き、勝負がつかなくなる場合があります。
その状況が「コウ」なのですが、ひとつずつ具体的に見ていきましょう。
着手禁止点(打ってはいけないところ)
まずはこの図をご覧ください。
仮に、このように白が置いてあったとします。
ここで黒番で…
この場所に置くことはできません。
黒1から道が一本も出ていないからです。
相手に全方向を囲まれている場所には原則として打てないのです。これが「着手禁止点」ですね。
でも、このルールには例外があります。
「着手禁止点」の例外
原則、相手に囲まれているところには打てないのですが、「相手の石を取れる時は、打って相手の石を取ってOK」です。
例えば上の図のようになっている場合、よく見ると白二子がアタリになっています。
そういう時は…
黒1と打って、白二子を取って良いのです。OKでしょうか。
関連記事: 【囲碁入門⑥】着手禁止点とは?囲まれているところには打てない!
「コウ」とは?
では、ここまでのことを踏まえて「コウ」について解説します。
今度はこの図を考えてみましょう。
白△がアタリになっています。
なので、黒番で…
黒1と打って、白△を取る事ができますね。
こういう状況になります。
ここまでは良いですね。
では、次は白番です。
よくよく見ると…
黒△がアタリになっています。
ですから、白は2と打って黒を取れるはずです。
それで、次はまた黒番ですね。
白2がアタリになっていますから…
黒3と打って白を取れるはずです…
もうお気づきだと思いますが、ずっと同じことが続きますね。無限ループの状態になってしまいます。これでは試合が終わりません。
ということで、これが「コウ」です。
取って取られてが永遠に続いてしまう状態を「コウ」と言って、未来永劫の「劫」という漢字を書きます。
もとはこの状態ですね。
さて、この形が発生すると勝負がつかなくなってしまうということで、昔の人がルールを追加しました。
「コウ」のルール
コウが実戦で出てきたらどうするのかというと…
黒が1と白を取ったあと
次の白は2と、取り返してはいけません。白2以外の場所に打つことになります。
これがコウのルールです。
このルールのおかげで、「永遠に取り合いが続いて勝負がつかない」ということがなくなりました。
このあと白はどのように打つのかというと、例えば白2です。
黒を取り返してはいけない、というだけで、他の場所ならどこに打ってもOKです。
そして、黒が3と打てばアタリの石がなくなり「コウ」の話は終わりです。
これを「コウの解消」と言います。(黒が「コウ争いに勝った」とも言います。)
でも、もしも黒3の手で…
コウを解消せずに、こんな風に別の場所に打ったとします。
すると、次は白番で…
今度は白4と打って、黒△を取る事ができます。
このように、一手ずつ間が空けば、取り返して良いのです。「永遠に同じことが続かなけれがOK」という考えですね。
こういう状況になりますね。
さて、次は黒番ですが、白4を取っても良いでしょうか?
答えは…
NOです。
黒5と、すぐに取り返してはいけません。(同じ形が続いてしまいます。是非、碁盤に並べて確認してみて下さい。)
白が4と、今「コウ」を取ったところなので、黒はすぐに取り返してはいけないのです。
黒5はこんな感じで、他の場所に打つ必要があります。
そして、白が6とつなげば、コウは解消されてコウ争いが終わります。
また、
白6でコウを解消しなかった場合は、
次に黒は、7と打って白を取る事ができます。
どうでしょうか?
これが「コウ」というルールに沿った攻防(コウ争い)になります。
非常にややこしく「コウってわからない!」となりやすいところですが、取って取られてがずっと続きそうかどうか、が判断基準ですね。
また、実戦では、最終的にどちらかが「コウの解消」をして決着がつきます。
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コウの判断の練習
コウかどうかを判断する練習をしましょう。
コウの判断の練習1
この形はどうですか?
白△がアタリになっていますが、この形はコウでしょうか?
黒1と打つのはとりあえずOKです。このあと、白が黒1を取り返して良いのかどうかです。
これは、
取り返してはいけませんね。
取って取られてがずっと続いてしまいます。つまり、「コウ」なのです。
もしも白が2と打って取り返してしまうと、最初の図と同じ形になってしまいますね。
これでは同じ形がずっと続くことになってしまい、勝負がつきません。
この形は「コウ」ですので、ルールにより、白2と打ってはいけないのです。
コウの判断の練習2
この図はどうでしょうか?
白二子がアタリになっています。
まず、黒1と取るのはOKです。
問題は、次の白が「アタリになっている黒1を取って良いかどうか」です。
これは…
白2と取り返してOKです。
白2となった状態は、白がアタリになっていないので、取り合いが永遠に続くわけではありません。つまり「コウ」ではなかったのです。
コウの判断の練習3
これはどうですか?
白一子がアタリだったので、黒1と打つのはとりあえずOKです。
しかし…
次の白番で、×に打って黒1を取る事はできません。
もしも白2と取ってしまうと、同じ形が繰り返されてしまうので、この状況は「コウ」です(白2と打つのはルール違反になります)。
端っこでもコウになるのですね。
コウの判断の練習4
最後の問題です。アタリを判断する練習にもなるので頑張りましょう。
この状態は白三子がアタリです。
なので、
黒1と打って、白三子を取ってOKですね。
このあと、白が黒1を取って良いのかどうか、ということですが…
取って大丈夫です。白2と取った時に、白はアタリになっていませんから、取り合いは続かないのですね。
コウではなかったということです。
どうでしょうか?
「コウ」は囲碁の中でもとても難しいところですが、「ずっと同じ形が続かないためのルール」と考えてもらえればシンプルだと思います。
「コウというものがある」と、頭の片隅においておきながら対局をするとだんだん慣れてきますので、こわがらずにたくさん対局してみて下さい。
具体的なコウの攻防
実際に「コウ」の形ができたら、どのような戦いになるのかを見ていきましょう。
このような局面があって、白番だったとします。
黒△がアタリなので、白は、
白1と打って、黒一子を取る事ができますね。
この形は「コウ」ですので、次の黒は、白1を取ってはいけません。
「白1を取る」以外の手を打つことになります。
たとえば…
黒2です。この手は右下の白一子をアタリにしていますね。
黒2に対して白が、
白3と打って「コウ」を解消したら、
次の黒は…
黒4と打って、右下の白一子を取る事ができます。
黒としては、左上の「コウ争い」には負けましたが、右下で得をすることができました◎
コウを取り返すための「コウダテ」「コウ材」
さて、冒頭の図に戻ります。
黒△がアタリになっている状況で白番でした。
白が1と打って黒△を取った (「コウを取る」と言います。) 時に、次の黒は白一子をすぐには取り返せないので、黒2と打ったのでしたね。
ここで白が、
左上のコウを解消せずに、白3と右下のアタリを逃げたら、
今度は、
黒4と打って、コウを取る事ができます◎
続けて取り返したわけではないので、これはルール違反にはなりません。
OKでしょうか。
尚、先ほどの黒2のことを「コウダテ」や「コウ材(ざい)」と言い、黒4とコウを取るための手になります。
では、次の白を考えてみましょう。
白としては、黒が今「コウ」を取ったところなので、すぐに黒4を取る事はできません。
なので、例えば、
白5などと、他の場所に打ちます。白5が「コウダテ(コウ材)」ということになりますね。
そして、白5は次に×の断点を狙っているので、良いコウダテになりそうです。
もしも黒が6と打って、コウを解消したら…
白は×の断点を攻めます!
白7、9と黒をアタリにして、バラバラにすることができます。
この状況は、白としては、「左上のコウ争いに負けたけれど、右下では得をした」ということになります。
コウダテ(コウ材)を打ち、相手がコウを解消している間に、さらにもう一手打つ事ができたのです。
さて、もう一度流れを確認しますと、
一番最初に、黒△がアタリの状況で白番でしたね。
白が1と取った時に、黒2が「コウダテ(コウ材)」でした。
対する白が、
白3と逃げたら、黒は4と打ってコウを取る事ができるのです。
そうすると今度は、白がコウダテを打つ必要があります。
コウダテは色々な打ち方がありますが、一例として、
白5です◎
この手は、次に×の断点を狙っているのでした。
黒が6などと対応して、右下の黒を守ったら、
白7と打って、コウを取り返すことができるのです。
この展開は、「コウ」はまだ解消されず、「コウ争い」が続きますね。(いずれは、黒か白のどちらかが、相手のコウダテに対して対応をせずに、コウを解消することになります。)
なかなか難しい話ですが、これが「コウ」の攻防です。
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どういう時にコウが出てくるのか?
さて、ここまで「コウ」のルールと、コウが始まったあとの攻防について解説してきましたが、今度は、
「どういう時にコウが発生するのか?」
ということを見ていきましょう。
コウを仕掛ける(コウに弾く)
下の図のような局面があって「黒番」だったとします。
境目が決まっていない場所は、「上辺」と「下辺」です。
特に「下辺」は、黒が打つと白をアタリにすることができますね。
黒1と打つと、白一子をアタリにできます。
対する白が、一子を取られないために、
白2とつなぐと…
さらに黒3と進まれて、下辺の白が一眼になってしまいます。
白は×の場所の一眼しかなく、下辺の白一団は丸ごと取られてしまっていますね。
白としては、この状況はなんとかして避けたいものです。
さかのぼりまして、黒が1とアタリをしてきた時に、白は正直につなぐと全体の白が取られてしまうのでした。
ここで何か手はないのか?
と考えた時に、
白2が粘りの一手です。×の場所が「コウ」になりますね。
コウの形にする手を「コウを仕掛ける」や「コウに弾く」と言います。
アタリを普通につないでいると不利になる時には、このように「コウ」の形に持っていくと良い場合があるのです。
さて、対する黒ですが、
黒一子がアタリなので、黒3とつないでしまうと…
白4とつながれて(コウを解消されて)、白が生きてしまいます。
白としては、「コウ」を仕掛けて本当に良かったですね。
一眼にされそうな白一団を助けることができました◎
なので黒は、白2とコウに弾かれた時に、
こわがらずに黒3と打って、白一子を取りましょう!
(コウを「取り返してはいけない」のであって、コウに弾かれた時には取って良いのです。)
さて、今度は白番です。
黒3と今コウを取ったところですので、白は次の手でコウを取り返してはいけませんね。
「コウダテ(コウ材)」を打つ必要があります。
このようにして「コウ争い」は始まるのです。
例えば、白4が「コウダテ(コウ材)」です◎
黒△をアタリにしていますね。
黒が5と打って黒△を助けたら、
白は…
白6と、コウを取ることができます◎
そして、今度は黒が「コウダテ(コウ材)」を打つ番になりますね。
このようにして「コウ争い」は続いていき、いずれはどちらかがコウを解消することになります。
コウの解消の判断法
コウの解消について見ていきましょう。
また、先ほどのコウを仕掛けた図に戻りますね。
黒1のアタリに対して、白は一眼にされないように、白2と打って「コウを仕掛けた」のでした。
白の立場で見ると、
「コウに勝てば二眼ができて生きる」(ただし、他の場所で損をする)
「コウに負ければ二眼できずに取られる」(ただし、他の場所で得できる)
という状況です。
先ほどの展開は、黒が3とコウを取り、白4とコウダテを打ったのでしたね。
ここで黒は考えどころです。
何を考えるのかというと…
「黒△と白×では、どちらが大きいのか?」
いうことを考えます。
つまり、黒△を助けるのか、コウを解消して白×を取るのか、ということですね。
コウ争いの時には、常にこのような2通りの選択肢があるのです。
相手が打ってきたコウダテに対して、
・受けてコウ争いを続ける
・無視してコウを解消する
この二つの選択肢のそれぞれの価値を比べて判断するのです。
さて、今回のケースですと、
上の図の黒△よりも白×の方が大きいですね。
なので、黒5では、
このように打ってコウを解消した方が良いです。
黒5と打てば、Bが欠け眼になり、白はAの一眼しかありません。
黒は下辺の白を丸ごと取る事ができたのですね。
白6と打たれて黒△が取られますが、白×を取れればおつりがきます。
反対に白としては、
白×を取られたけれど、黒△を取れたという状況になります。
今回の局面では、白にとって良いコウダテがありませんでしたが、コウを仕掛けずにタダで下辺の白×が取られるよりは得しているのです。
コウに弾いたことで黒△を取れたのですね。
黒1に対して、白一子をつなぐと一眼になってしまうところを、
白2とコウにすることで生きる可能性が出てくるのです。(大きなコウダテがあれば、コウに勝って生きることができます。)
また、今回はコウダテが白4しかなく下辺の白は取られてしまいますが、それでも黒△を取れる分、得をしているのです。
コウに負けたとしても、コウダテを打って他で得できるのですね。
どうでしょうか。
碁盤にゆっくり並べて確認していただければ幸いです。
まとめ
・「コウ」とは、「取って取られてが同じ形でずっと続いてしまう形」のこと。
・相手がコウを取った次の番は、コウを取り返してはいけない。
・コウを取り返すために、他の場所に打つ一手のことを「コウダテ」や「コウ材(ざい)」という。
・コウの形を終わらせることを「コウの解消」という。(「コウに勝つ」とも言います。)
・コウに負けた側は、相手がコウを解消している間に、「他の場所にもう一手打てる」というメリットがある。⇒コウに負けることは、悪いことだとは限らない。
どうでしょうか。
お時間のある時に、是非碁盤に並べて確認してみて下さい!
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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