こんにちは!
囲碁インストラクターの佐藤です。
今回は囲碁の対局に良く出てくる「ツケ」「ハネ」「ノビ」という接近戦の石の動き・格言について解説します。
この解説を読むと、実戦で明確な目的をもって、ツケたりハネたりノビたりできるようになります。
どう考えて打つのかがよく分かりますので、是非ゆっくりご覧ください。
本サイトでは級位者の方のための囲碁オンライン講座を公開しています。
1ヶ月無料体験を実施中ですので、良かったらどうぞ。
囲碁オンライン講座について:【オンラインで手軽に学べる】1級・初段を目指す囲碁講座
「ツケ」とは?

まず、白がいたとします。

このように道が出ているわけですが、

その道をジャマするように打つのが「ツケ」になります。
黒1は「ツケ」ということになりますね。
なので…

この黒1も「ツケ」ですし、

この黒1も、

この黒1も、「ツケ」ということになります。
ツケの性質としては…
「ツケ」の性質

ツケは、相手の逃げ道(呼吸点)を少なくする手ですが、同時に自分の逃げ道も少なくなる手です。
お互いに少しキケンな状況になるのですね。
なので、「ツケ」は戦いを仕掛けるイメージの手になります。
「ハネ」とは?

白2のように、接近している相手(黒1)に対して、自分が斜めに打つ手を「ハネ」と言います。

同じように、白2も「ハネ」ということになります。
「ハネ」の性質

ハネの性質としては、相手の逃げ道(呼吸点)を少なくしている、ということが言えます。
相手の石を取りやすくなるということで「攻撃」の手になりますね。
黒1の「ツケ」に対して、白2の「ハネ」で反撃した、という状況です。
「ノビ」とは?

黒3のように味方の石と、しっかり線でつなげて打つ手を「ノビ」と言います。

同様に、黒3も「ノビ」ということになります。
味方と縦か横にまっすぐつながっていることがポイントです。
「ノビ」の性質

「ノビ」の性質としては、このように逃げ道(呼吸点)が増えることです。
取られづらくなりますね。
イメージとしては「防御」の手になります。

黒3の「ノビ」は味方を守った手ですが、守りながら次に相手を切ろうとしています。
黒 A の「キリ」が次の狙いです。

ということで、黒3のノビに対して、白は4としっかり「ツナギ」を打つのが基本的な対応になります。
お互いに守り合って、石の呼吸点が増えて安定したところで、部分的な接近戦が一件落着です。
「ツケノビ」とは?接近戦の格言について

黒1のツケ、黒3のノビをまとめて「ツケノビ」と言います。
黒が「ツケノビ」を打った、というように表現します。
石がくっついたときの「格言」

この図のように、向きなどが違っていてもこの石の動きは「ツケノビ」ですね。
さて、ここで格言の登場です!
接近戦の格言:
「ツケにはハネよ」
「ハネにはノビよ」
「ノビにはつなごう」
という感じで石の動きを習得しましょう!
関連記事:【囲碁の格言・ことわざを図解!】初心者・級位者におすすめの3選
「ツケノビ」の性質

「ツケノビ」の性質としては、このように、最終的に呼吸点が増えて味方の石が強くなります。

ただ、同時に相手の呼吸点も増えますので、「お互いの石が強くなる石の動き」ということが言えます。
「ツケ」という攻撃の手から始まって、最終的にはお互いが強い石になっている、というところがおもしろいですね。
級位者さん向けの「囲碁オンライン講座」の1ヶ月無料体験を実施中です。
今なら「序盤のお手本~特選30譜~」というオリジナル布石教材もプレゼントしています。
是非、画像をクリックして詳細をご確認下さい!
「ツケノビ」の具体例
では、「ツケノビ」をどういう場面で使うのか?
具体的に見ていきましょう!
味方がピンチの時に使う「強化」のツケノビ

こんな場面があったとします。
黒の「二間ビラキ」に白1と「攻めのケイマ」を打ってきた場面です。

放っておくと、さらに白 A の「カケ」などを打たれると、黒は非常に苦しくなります。
こうなる前に黒は手を打ちたいですね。
ということで、こんな時に「ツケノビ」が活躍します。

白1のケイマに対して、黒2のツケが、ピンチをしのぐ良い手です◎

黒2のツケはこのように進んでいますね。

なので、対する白は、黒の進行方向を止めるように白3の「ハネ」です。

そして、白3のハネは、次に白 A などのアタリを狙っています◎

ということで、黒は4の「ノビ」という対応になるのですね。

そして、黒は守りながら、次に黒 A のキリを狙っていますので…

白5と「ツナギ」を打つ展開になります。
ここまでが「ツケノビ」の攻防で、

白は青丸あたりのエリアを白模様にし、黒は弱かった二間ビラキを強化できました◎
お互いに利のある攻防なのです。

この局面ですと、黒6とケイマで脱出して一件落着です。

白1の「攻めのケイマ」から、黒6の脱出まで、石の意味を意識しながら、是非碁盤に並べてみて下さい。
模様を大きくする「拡大」のツケノビ

こんな場面があったとします。
白1のカカリに対して、黒が右辺の黒模様を拡大したいと思ったら…

黒2の「ツケ」が良い手です◎

こういう風に進んでいますね。

なので、白の対応は3の「ハネ」になります。

ハネながら、次に白 A のアタリを狙っていますので、

黒4のノビも大事な一手です◎
黒は2、4のツケノビを打つことで…

右辺の黒模様を拡大しています。

白も今までの流れですと、白5と断点を守ることになるのですが、

この場面では、黒6が「フクラミ」というとても良い手になってしまいます。

なので、黒2、4のツケノビに対して、次の白は…

白5と打って、黒の「フクラミ」を阻止します◎

白5は、×の断点を補強しながら、隅の黒地へ向かって前進していますね。

このあとは、このような展開になります。(この攻防についての詳しい解説はまたの機会に。)

黒は当初の目的である「右辺拡大」を無事に達成しました◎

黒2、4の「ツケノビ」が良かったということですね。
まとめ
どうでしょうか。
実戦でよく出てくる「ツケ」「ハネ」「ノビ」について詳しく解説しました。
是非、実戦で今回の解説を意識しながら「ツケノビ」を打ってみて下さい。
では、最後まで読んでくださりありがとうございました!