今回は「セキ」について解説していきます。
囲碁の不思議なところなのですが、「お互いに打たない方が良い」という場所が出てくることがあります。
「セキ」とはそのような状況のことで、終局までそのままなのです。
おもしろい話だと思いますので、ゆっくりご覧ください。
囲碁の「セキ」
「セキ」は「攻め合い」から出てくる
セキについて解説していくのですが、まずは「攻め合い」の話を少し復習でしておきましょう。
攻め合いとは…
この図は攻め合いの例題です。
黒2子と白2子が取るか取られるかの状況で、「先手必勝」の状態です。
もしもここで黒番だった場合は
黒1と打てば、白をアタリにできて、黒が取られるよりも先に白を取る事ができますね。
白が2と攻めてきても、黒3と打って先に白2子を取る事ができます。
黒が攻め合いに勝ったという状況ですね。
最初の状況に戻って、この時にもしも白番だった場合は結果が変わります。
白番だった場合は、白1と打って白が攻め合いに勝ちます。
黒が2とアタリしてきても、白3ですね。
先に黒を取る事ができました。
これが、先に打った方が有利になる「攻め合い」です。
関連記事: 【囲碁の攻め合いの基礎】初級者のための「攻め合い」入門
「セキ」とは
さて、今の攻め合いの話を踏まえてこの図をご覧ください。
上の図はどうなっていると思いますか?
この図は…
黒○と白△が戦っています。
黒が白△を囲んでいるとも考えられますし、
白が黒○を囲んでいるとも言えます。
つまり、攻め合いなのですね。
さて、ここで黒番だった場合、白を取ろうと思ったら…
黒1と打って、白を詰めて取ろうとします。
しかし、この状態で次は白の番ですから、よくよく見ると…
白2と打たれて黒が取られてしまいます。
こういうことになってしまいますね。
また、この時に黒が
このように白を詰めようとしても
やはり白2と打たれて、黒が取られてしまいます。
こういう状況になります。
黒から打ってもうまくいきませんね。
ということで、最初の状態に戻って、ここから黒は何も打たない方が良いということが分かります。
打つと取られてしまうので、他の場所に一手使った方が良いですよね。
さて、今度は上の図で、白の番で考えてみましょう。
白が打ってうまくいくのであれば、ここでの戦いは白が勝ったという事になります。
白が黒を取ろうとしたら、例えば白1ですね。
しかし…
白もアタリになってしまっていて、次は黒番なので白が取られてしまいます。
こういうことになってしまいますね。
という事で、白が黒を攻めても、白が取られてしまいました。
つまり、この状態はお互いが手出ししない方が良い状況です。
そして、これが「セキ」です。
黒も白も緑のエリアはなにも打たずに、このまま対局を進めることになります。
ルール上打っても良いのですが、打つと損なのでお互いに打たないのです。
分かりづらい話なので、具体的にこのあとの展開を見てみましょう。
「セキ」が実戦で出てきたら…
実際に対局で「セキ」が出てきたら、どのように扱えば良いのでしょうか。
具体例を挙げて解説していきます。
「セキ」が出てきた時の終局の仕方
ここから黒番で、終局まで打ち進めてみましょう。
碁盤の下の方が空いていますので、黒は下辺に向かって陣地を広げていきたいと思います。
例えば、黒1の一間トビが良い手です。
下辺に進みながら、右辺に黒地を作っていきます。
では、白も対抗して…
白2などが良い手です。
こんなイメージですね。
このあとも陣地の境目を打っていきます。
黒3が良い手です。
黒地を広げながら、白地へ入ろうとしています。
なので、白は4と止めます。
白地を守ります。
黒は、さらに白地を減らすために5と進みます。
白地に向かって進んでいますね。
白は黒の進行を止めて白地を守ります。
そして、ただ白地を守っているのではなく…
次に白Aと打って、黒一子を切り離して取ろうとしています。
ということですから、黒は7とつないでしっかり守ります。
よくある一連の流れで、このようにして陣地の境目が決まっていきます。
白も、黒地へ向かって進みます。
こういう風に進んでいますから、
黒は9と止めて黒地が減らないようにします。
そして、白一子がアタリになりましたね。
なので、白は10とつないで、下辺の境目は一件落着です。
残る境目は緑のエリアです。
赤丸が黒エリアで青丸が白エリアですね。
この際、セキになっているところは陣地として考えません。
次は黒番でしたから、黒11と打って、黒地を少しでも広げつつ白地へ進もうとします。
こうやって進んでいますね。
なので、白は12と止めて、黒も13と最後の境目を打ち終局です。
セキになっているところはノータッチでしたね。
「セキ」になったときの陣地の数え方
では、陣地を数えましょう。
セキになっているところはお互いに「陣地なし」で、黒○と白△はアゲハマにもならずこのまま置いておきます。
ということで、緑のところはどちらの陣地にも数えません。
黒地は黒のポッチの数で27目。白地は白のポッチの数で、21目。
黒の6目勝ちということになります。(コミを6目半としたら、白が半目勝ちですね。)
セキの考え方や実戦での扱いについて解説しました。
色々な「セキ」の例
セキの例1
こんな状態もセキです。
黒○と白△がセキの関係で、お互いに緑の場所に打てません。(先に打った方が取られる。)
是非、確認してみて下さい。
セキの例2
今度は石数を増やしてみました。
どの石とどの石が「セキ」になっているのかを見極めましょう。
黒○と白△がセキですね。
お互いに緑の場所は打たずに、終局までこのままにしておくのが最善の選択になります。
セキの例3
最後です。
こんな状態もセキです。
お互いにひとつづつ「眼」があるのですが…
どちらも緑の境目を打つと、アタリになって取られてしまうので「セキ」です。
OKでしょうか?
黒が緑に打ったら黒がアタリになる、ということと、白が緑に打ったら白がアタリになる、ということを確認してみて下さい。
長くなりましたが、以上がセキの話でした!
では、最後まで読んで下さりありがとうございました。