こんにちは。
囲碁インストラクターの佐藤です。
今回は、連絡の基本である「コスミ」や「ケイマ」などについて解説していきます。
なぜ良い手なのか?が分かると、とても面白いですし上達もはやくなります。是非、ゆっくり見ていって下さい。
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目次
①連絡の基本「コスミ」
「コスミ」が分かると、石がどういう理屈でつながっているのか?が分かります。
また、実戦では、安全に、切られることなく打ち進められるようになります。
「コスミ」とは?
例えば、このように黒石があったとして、
こんな感じで、斜めに味方の石を増やす手を「コスミ」と言います。
同じように、○の場所に黒が打った場合も「コスミ」になります。つまり、
これも、
この手も、
みんな「コスミ」です。
ちなみに、コスミは漢字で書くと「小角」と書くらしいです。二つの石が斜めに並んでいるのが、小さい角に見えるからでしょうか。
さて、
なぜコスミを打つのか?
この状態は、黒石同士が「コスミ」でつながっています。
そう、つながっているのです。
これから囲碁用語をたくさん解説していくのですが、
ほとんどの囲碁用語は「連絡」と「切断」が関連しています。
そして、このコスミは数ある囲碁用語の中でも、
最も連絡の強度が高いです。
「しっかりつながっている」=「分断されない」=「取られづらい」
ということになってきますので、
コスミは相手に分断されないための、石の動きになります。
本当につながっているのか?
コスミは本当につながっているのか?
を実際に見ていきましょう。
コスミはどういう仕組みでつながっているのかというと、
黒石同士が A と B のどちらかの道で連絡しています。
具体的にいきます。
白が1と A の道を遮ってきたら…
黒は、
黒2と反対側の道に打って対応すれば、
縦横の線で、しっかりつながっています◎
では白1で、
こちら側をジャマしてきても…
黒は、
反対側の道に打てば良いのですね。
やはり黒は縦横でちゃんとつながっています。
OKでしょうか。
コスミは、A、B どちらかの線で必ず連絡できるのです。
こういう状況を「見合い」と言います。
「黒は A と B が見合いでつながっている」
という風に表現します。
では、
具体的にどうやって使うのか?
実戦ではどのように使うのか?
をご紹介します。
例えば、
白1と、黒の小目に「小ゲイマガカリ」をしたとします。
これに対して黒が、
黒2と「コスミ」で受ける◎
この手は昔からあるとても良い手です。
コスミでしっかりつながって、力をためることで…
このあとの狙いが増えます◎
コスミで守ったあとは、
黒Aの「ヒラキ」で陣地拡大
黒Bの「コスミツケ」で隅の陣地を確保
黒Cの「カケ」で白を上から圧迫
黒Dの「ハサミ」で白のヒラキを阻止
という4つの狙いがあります。
そして、
白も「ハサミ」を打たれるのが最も困るので、
白3と「二間ビラキ」を打って陣地を作ります。
最後に黒4と辺へ大きく展開して、一件落着です。
これは小目の定石の一例です。
コスミがしっかりつながっているから、黒は安心して、黒4などとヒラキを打つことができるのですね。
他にも、
このような場面で「コスミ」が使われます。
黒が白にハサミ打ちされていてピンチです。
そんなときに、
黒1のコスミで脱出です◎
周りが敵ですが、コスミならば分断されることなく中央へ出ることができます。
そして…
コスミの後は、
黒A、黒Bの「カケ」を狙うことができます◎
周りに敵が多い時は「コスミ」
というのは多くの場面で有効です。
もう一つだけご紹介します。
星の「シマリ」が打ってあったとして、
ここからさらに黒が、
黒1のコスミを打っておくと、
隅が黒の陣地として完成します◎
詳しくは、【星の基礎】星で陣地を守る方法をご覧ください。
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次は、連絡の手筋「一間トビ」について解説します。
②連絡の基本「一間トビ」
一間トビが分かると、安全に、且つ、効率よく陣地を守ったり、脱出したりできるようになります。
困ったときは「一間トビ」を打つことから考えてみましょう。
「一間トビ」とは?
黒1のように、読んで字のごとく、
一路開けて進むことです。
黒1の他にも○の場所に黒を打つ手はどれも「一間トビ」です。
つまり、
この手も、
この手も、
みんな「一間トビ」です。
OKですね。
では、
なぜ一間トビが良いのか?
理由を考えていきましょう。
「コスミ」と同じように、黒石同士が連絡している、ということがポイントです。
例えば、
白が1と近づいてきても、
これ以上白が進んでこないように、
黒2と止めれば黒石は完璧につながっています。
また、もしも白1で
このように近づいてきても、
白がこれ以上進んでこないように
黒2と打てば、黒はちゃんとつながっていますね。
「一間トビ」は「コスミ」よりは少し緩いですが、
とても頑丈です。
どういう時に使うのか?
具体的に見ていきましょう。
こういう状況があったとします。
実戦でよくできる形です。
ここで黒番だった場合、上辺の黒模様を拡大するために…
黒1の「一間トビ」が良い手です◎
「コスミ」で進むよりも早く中央へ進めているところがポイントです。
イメージは、
こんな感じですね。
黒模様を中央へ向かって拡大しています◎
さて、
白も黒1に対抗して、隅の陣地を守りたいと思います。
どのように打つのかというと…
白2◎
白も隅の陣地を守るために、白2の「一間トビ」が良い手です。
この手は特に、隅に向かって、さがるように一間トビをしているので、
「トビサガリ」と言います。一間トビの一種です。
このようなイメージで隅の陣地を守っています。
一間トビもコスミと同様に「守り」の要素が強いです。
実戦ではここが重要なポイントなのですが、
周りに敵がいたら「コスミ」か「一間トビ」で、
しっかりつなげながら打つことが、石を取られないコツになります。
どうでしょうか。
「コスミ」、「一間トビ」=「守り」というイメージで打ってみて下さい。
では今度は、「攻め」に使う連絡の手筋「ケイマ」について解説します。
③連絡の基本「ケイマ」
ケイマをうまく使えると、効率よく陣地を増やしたり、相手の石を厳しく攻められるようになります。
これから解説する、ケイマの仕組みも安全のために重要です。
「ケイマ」とは?
ケイマとは、このような石の動きです。
将棋をご存知の方は分かりやすいと思います。
将棋の「桂馬」と同じ動きなのです。
2路進んで、1路曲がる。という感じですね。
その要領で、
黒1以外にも、○の場所は全部「ケイマ」になります。
起点となる黒石から「2路進んで、1路曲がる」という動き方をしていますね。
どういう仕組みでつながっているのか?
「コスミ」や「一間トビ」と同じように、ケイマもつながっています。
黒石がケイマになっています。
こんなイメージです。
左右の黒はどちらかの線でつながっているのです。
つまり、
白が1と迫ってきても、
白がこれ以上進んでこないように
黒2と対応してつながろうとします◎
しかし、「一間トビ」と違い、斜めの断点が生じます。
白3が黒の弱点ですね。
黒石が切れました。(斜めは線がなく、つながっていないので、黒は2子と1子に分かれています。)
しかしここで、黒から反撃の手があって…
どこに打つのかというと…
黒4です◎
ここに打つことによって、白×を「シチョウ」で取る事ができます。
白が5~9と逃げようとしても、黒6~10とうまくアタリして、
このままジグザグにアタリが続いて、最後は碁盤の端っこで白を取る事ができます。
つまり、白を取れて、黒石はみんなつながるのです。
まとめると、
白が1、3と黒を分断してきても、
黒4と打つことで、白1をシチョウで取る事ができて、
結果的に黒のケイマはつながっているのです。
相手の石を取る事でつながるのですね。
ここが「一間トビ」や「コスミ」との違いです。
反対側もやってみましょう。
黒がケイマで構えているところに、
白が1と迫ってきました。
次に黒を分断しようとしています。
なので黒は、
黒2と打って、左右の黒をつなげようとしますね◎
ここで白も、黒を切るために…
白3と打ってくるかもしれません。
でも、ここで黒から良い手があって、白を取る事ができます。
黒はどこに打つのかというと…
黒4です◎
ここに打つことで、白×をシチョウで取る事ができます。
このあと、
白が5と逃げようとしても、
黒6~12とうまくアタリが続くように打って、
最後は碁盤の端で白を取る事ができます。
こういう状況になりますから、黒はつながっていますね。
ということで、
白が1、3と分断を試みてみても、
黒4と打って、白1を取る事ができます。
ケイマはつながっている、ということの証明でした。
また、「ケイマ」と「シチョウ」は密接な関係にあるということも分かります。
どういう時に使うのか?
具体的に見ていきましょう。
このような状況はよくあります。
ここで、
白が○の場所に打つのはとても良い手です。
なので黒が、
白○を打たせないために、黒1が良い手です。
白が2と受けている間に…
黒3などと打つと、
上辺の白模様を制限しつつ、
右辺の黒模様が拡大します◎
黒1のケイマが良い手でした。
もう一つ事例を挙げます。
このような状況で黒番です。
右辺の白を攻めて黒模様を大きくしたいです。
どのように打つのかというと…
黒1が良い手です◎
右上の黒の陣地を拡大しつつ、
右辺の白を攻めています。
白が2~6などと右辺の白を強化している間に…
こんな風に白地を作っている間に…
黒7と打って、
上辺を大きくします◎
結構大きくなりましたね。
それは、
黒1のケイマのおかげです。
これが「攻めのケイマ」です。
守りは一間トビやコスミ。
攻めはケイマです◎
どうでしょうか。
是非碁盤に並べて実感してみて下さい。
さらに詳しく、「囲碁オンライン講座」で解説しています。受講者さんからのご質問を参考に「ケイマのツケコシ」についても詳しく解説しました。
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④連絡の基本「大ゲイマ」
では次は「大ゲイマ」について解説します。
大ゲイマをうまく使えると、効率よく陣地を囲んだり、相手の陣地を減らすことができるようになります。
「大ゲイマ」とは?
大ゲイマとは「ケイマ」よりも一つ多く進む手の事です。
黒1が大ゲイマになります。
このような感じで、どちらかの線で連絡しています。
また、
隅の黒石から、○の場所は全部「大ゲイマ」ということになります。
「大ゲイマ」はどのようにつながっているのか?
黒石同士が大ゲイマでつながっています。
ここに、
白が1と近づいてきて、切ろうとしてきました。
黒はどうしますか?
白1はこのように進んで、左右の黒を分断しようとしているので、
黒は2と対応します。
そして、
こういう進行方向で連絡しようとしています。
OKですね。
さて、黒を分断しようとしている白は、この矢印をジャマしてきそうです。
白3ときそうです。
黒はどう対応したら良いでしょうか?
白3のあと…
さらに白△と打たれると、黒二子と一子が離れ離れになってしまいます。なので、
白3に対しては、黒4と打つことが重要になります。
黒をつなげようというイメージと、白を分断している、という役割があります。
そして、
黒4と分断する事によって、白 A か白 B のどちらかを取る事ができます。
どういうことかというと…
このあと白が5と打って、Bの方を助けたとします。
そうしたら黒は、白 A を取りにいきます。
どう打ったら取れるでしょうか?
ここで、
石を取る手筋「シチョウ」が活躍します。
黒6と打つことで、白 A をシチョウにして取る事ができます。
白が7と逃げようとしてきても、アタリが続くように攻めて、黒14まで、最後は碁盤の端で取る事ができます。
こういう状況になりますね。
黒はみんなつながっています◎
では、少し戻ります。
黒が4と打って、白を A と B に分けた局面がありましたね。
黒は白 A か B のどちらかを取れます、という話でした。
今度は、
白が5と打って、A を助けた場合を考えてみましょう。
次の黒番はどこでしょうか?
黒としては、白 B を取れればOKです。
白 B を取るためには…
黒6です◎
これも「シチョウ」になりますね。
白がアタリを逃げてきても、黒はこんな風にアタリを続けて、最後は碁盤に端まで追い込んで、丸ごと取る事ができます◎
OKでしょうか。
では、まとめます。
黒の「大ゲイマ」を白1、3と分断しようとしてきても、
黒4と打つことで、黒はこのあと A と B のどちらかに打って、白1 or 白3を取る事ができるのでした。
それは、「大ゲイマはつながっている」ということになります。
一間トビやケイマよりも難しい話になりますが、こういう理屈が分かると実戦でとても役に立ちます。
「大ゲイマ」の使い方
では、具体的にどういう時に大ゲイマを使うのか?を見ていきましょう。
例えばこのような局面があったとします。
右辺の黒模様が大きくなりそうです。
黒番でどうやって拡大したら良いでしょうか?
こういう時に…
大ゲイマが良い手です◎
味方が多い時に大ゲイマが有効です。
辺の黒石から「大ゲイマ」で進んで、右辺を大きくしています。
どうでしょうか。
では、もう一例見てみましょう。
今度はこんな局面があったとします。
ここで黒番で考えたいのですが、その前に、
白に△と打たれると、隅が白の陣地として大きく確定してしまいます。
星の「シマリ」と「コスミ」で陣地が確定するのです。
さて黒は、この白△を打たれる前に…
黒1の「大ゲイマ」が良い手です。
白の陣地に滑り込んでいるので「スベリ」とも呼び、大ゲイマのスベリなので、「大ゲイマスベリ」になります。
このように相手の陣地を減らすことにも使えるのですね。
いかがでしたか。
是非、実戦で試してみて下さい。