こんにちは。
囲碁インストラクターの佐藤です。
今回は「囲碁オンライン講座」のサンプルとして、No.3【囲碁の三々入り】~両翼に三々~を公開します。
実戦で非常に良く出てくる話ですので、是非ゆっくりご覧ください!
こんにちは。今日もよろしくお願いします。
今回はこの形です。図1の状態で黒番。
図1
…この形はなんでしょう?
少しじーっと見ていただいて。
生い立ちです。
図2
まず、このように黒がいます。
「両翼」という構えですね。
「鶴翼」とも言います。
この黒模様に対して白がどうするか、という話でして…
放っておくと全部黒地になってしまうので、
白は侵入していきたいです。
その際の入り方が重要です。
ではまず、
図3
白1と、
星に「カカリ」を打つとどうなるでしょうか。
今度は黒の立場で考えてみましょう。
「黒の多いところに白が入ってきた」という状況なので、
図4
例えば、
黒2と穏やかに受けると…
白がゆったりしてしまいます。
図5
白3の「スベリ」が良い手で
白5まで、
黒の中に入って行った割には、白地が大きくなりました。
この後
さらに白は
Aのスベリや、Bの脱出を見ています。
この状況は、
黒が嫌ですね。
ということですので
図6
白1のカカリに対して
白に「スベリ」を打たせないように…
図7
黒2の「コスミツケ」が良い手です◎
この手は、
先週の話ですと
「隅の陣地」は守れません。
しかし、
周りに黒が多いときに
「白地を作らせない」
という目的で良い手になります。
そして、
図8
さらに黒△と打てたら最高で、
白一子を囲みつつ、
隅が固まりつつ、
上辺の黒模様を拡大できます。
ですので
「コスミツケ」を打たれた白は…
図9
白3と「ノビ」ます。
中央に向かってのびているので
「立つ」とも言いますね。
白3も、ただ立っただけではなく
ちゃんと次の狙いがあります。
どこかというと…
図10
白△です◎
白△と打って、
隅の黒を封鎖しようとしています。
実は、
「コスミツケを打った黒の石」は
「立った白石」よりも弱いのです。
なので
次は黒番でしたから、
図11
黒4と
隅の黒△を脱出させます◎
「コスミツケ」が出てきたら
コスミツケられた側
⇒ 立つ(ノビ)
コスミツケた側
⇒ トビなどで脱出
あまり言われていませんが
かなりの割合でこの法則は当てはまります。
一連の「石の形」なのですね。
さて、上の図で
白は困りましたね。
左辺に黒がいるので、
白は「ヒラキ」が打てません。
…一応打てるのですが
図12
狭いです。
黒とぶつからないように打つには、
白5の一間ビラキが限界です。
⇒狭いので、生きられるだけのスペースができません。
ただ、それでも白5からは狙いがあって
黒はしっかりその狙いを考えて、阻止する。
というのが大切になります。
ということで
白5の狙いは何でしょう?
白5の石から…
白は陣地を作りたいので…
図13
白△のスベリが狙いです。
青丸のエリアが白地になりますね。
こうなると
白にゆとりができてしまうので、
白5に対する黒は、
図14
白△を打たせないために、
黒6の「コスミツケ」です◎
辺でのコスミツケは、
相手のスベリを阻止する手なのです。
そして、
図15
黒△を狙っています。
なので、
白番でしたから
「コスミツケ」を打たれた白は…
図16
ノビ(立ち)ます。
それで、ノビながら
図17
白△が狙いですね。
ということで、
コスミツケを打った側は
図18
黒8と一間トビなどで脱出して
白も9と中央へ出ます。
さて、
この状況は、
白が不利ですね。
白地がとても小さいです。
図19
黒は上辺(赤丸エリア)と左下(赤矢印)へ
勢力が広がったのに対して
白地は青丸しかありません。
ということで、
図20
「両翼」の構えに対して、
通常の「カカリ」で入っていくと、
白はこれを踏まえて…
三々に入りました。
図21
これが「両翼に三々」ですね。
星の弱点であり、入った石から二方向
のどちらかに進む事ができる好手です。
図22
青矢印のどちらかに進めます。
図23
例えば
黒2とくれば白3の方向に進みます。
そして、
接近戦が進んで…
図24
こうなります。
(この定石については、また詳しく解説しますね。)
白が隅を取り、
図25
黒は、
右方向への厚みを作ります。
少し戻りまして
図26
白1の三々に、
黒2の方向からおさえたら
この後の展開は…?
図27
白3と反対側へ進んで、
こうなります。
図28
是非両方の向きを、
実際の碁盤で並べてみて下さい。
図29
厚みのできる向きが変わりますね。
…と、このようになれば良いのですが
今日の話は
黒4とハネた時に、
図30
このあと白はAに打って
隅の陣地を広げるのが正しいのですが、
図31
白5と切ってきました!
というのが
図32
冒頭のテーマ図です。
やっとここまで来ましたね。
さて、どうしますか?
黒です。
今、白が切ってきたところなので
図33
切ってきた白が気になりますが
図34
白2と逃げられて、
白を取れないだけでなく
黒△も弱くなりますし、
×の弱点もあります。
これは黒があまり良くありません。
この時
図35
切ってきた白△を狙うのではなく
隅の白二子を狙ってみましょう!
あらためて黒番で、
どうやって隅の白を攻めたら良いでしょうか?
図36
隅の白△を攻めるにあたって、
黒1が思いつきます。
白△を残り2手にしているので、
「二目の頭」ですし
石の形の上ではとても良い手です。
しかし、今回は
図37
白2には
黒3とつなぐ必要があり
この後
図38
白4で、黒△をアタリにされて
白6、8と、
なんだかんだやっているうちに、白が生きてしまいます。
この展開でも
「定石と比べて白地が小さい」
という点で、白を咎めているのですが
黒にはもっと良い咎め方があります。
隅の白を丸ごと取れるのです。
この時
図39
今日のテーマ図ですね。
先ほどの、
白が生きてしまった展開から考えると
「黒△が弱い」というのが、白を生かしてしまう原因です。
ということで
隅の白地が広がらないようにしながら
黒△を強化しましょう。
どこでしょうか?
いきます。
「サガリ」です。
図40
黒1のサガリが良い手です◎
黒石がアタリにならないようにしながら
白地の拡大も阻止しています。
そして
本来
図41
定石では、
白△と打つはずでした。
それを
図42
切ってきたのです。(白△は定石はずれ)
「定石はずれの咎め方」のコツは
全てが当てはまるわけではありませんが、
「本来相手が打つはずだった場所を打つ」です。
「相手が怠っていることを、咎める」
と考えても良いですね。
本来相手はここに打つはずだ…と考えるのは自然です。
ということですので
図43
白の打つはずだった場所を打つ、という点でも
黒1が良い手になります◎
このように、
本来の定石を知っていると、
相手が間違えたときに咎めやすくなります。
そしてこの後は
白→隅を生きようとする
黒→隅の白をやっつける
という戦いになります。
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では、戦っていきましょう。
図44
白2ときました。
黒役でお願いします。
次の黒は…?
おさえる◎
図45
白は脱出しようとしていました。
まずは「封鎖」です。
しかし、
黒にもキズがあって、
少し怖い感じもしますね。
…ですが大丈夫です。
白も×に弱点があります。
ちょっとやってみましょうか。
図46
白4が黒のキズです。
黒二子がアタリですから、
図47
黒は5と逃げます。
この時に
白Aがアタリになります。
そして、
「黒○に打って白Aを取る手」
と
「黒×に打って白Bを取る手」
が見合いです。
どちらかの白を取れるのですね。
白が
図48
6とAを逃げたら、
黒は7と打って白Bを取ります。
(二線のアタリですから、取れていますね。)
白8などの手には
図49
白Bを取ってしまえば大丈夫ですので
これは黒が有利です。
戻りまして
図50
黒1と、
白が打たなかったところを咎め、
白が2と脱出しようとしてきたら
黒3と止めてOK。
ということです。
×の断点を狙いながら、
黒3と打つのがポイントですね◎
図51
断点を狙われている白は、4とつなぎます。
そうしたら黒は?
今度は…
黒も
図52
危ないので守ります。
黒5とカケツギです◎
(この手を打たずに、白に×の断点を攻められると今度は危ない。)
これで白の「封鎖」が完了しました!
では、
図53
白が6と止めたところで
最後の問題です。
黒番で、
白を一眼にして下さい。
白地は結構広いですね。
封鎖が完了している状況なので、
次のステップは「狭める」です。
狭めるための「一線のハネ」が二か所あるのですが、どちらからハネましょうか?
相手に眼形ができないように狭めたいです。
「ハネ」を打った後を少し予測してみてください。
正解行きますよ。
こちらのハネです。
図54
白を狭めつつ、
眼形のお手伝いになっていません。
どういうことかというと
図55
白8と止めた時に
白地がなんとなく平らですね。
図56
こんなイメージです。
これが、
白地を狭めながら、眼形のお手伝いになっていない、
ということです。
そして、さらに黒9と狭めて…
図57
白10とおさえたところで、
あと一手お願いします。
答えは
これです
図58
五目中手◎
隅の白は一眼になります。
この、狭めて一眼へ持っていくやり方は
No.1【小目の守り方】~小ゲイマジマリ~の図56~図58とそっくりです。
隅でよく出てくる形なのですね。
関連講座: 【小目の打ち方】~小ゲイマジマリに入ってきた石を取る方法~
また、
一線のアタリになっている黒は取られても欠け眼です!
その様子を見てみましょう。
図59
黒△を取られても
白は欠け眼です◎
図60
こちらも同様に、白は欠け眼ですね。
ただ、
黒15は重要で、
外側の黒が危なくならないようにしながら、白を封鎖しています◎
図61
さらに白16と進んできても
黒17で止まります。
そして、
白はアタリではありませんが
黒○がいるので、△の場所は欠け眼です◎
白を
・封鎖し
・狭めて
・中手にして
取る事ができましたね◎
(このまま白を詰めなくても取れている)
隅が全部黒地になったということで、
黒大成功です。
お疲れさまでした。
まとめます。
図62
白1と「両翼に三々」から始まり、
白5が定石はずれ。
図63
本当は白△に打つはずだった、
と考えて
黒は、
図64
黒6の「サガリ」が良い手でした◎
この手で、
隅の白を取れるのですね。
定石はずれの咎め方、
という話でしたが、
「相手が打つはずだった場所を打つ」
から始まり、死活に発展し
やっぱり
「封鎖」
「狭める」
「急所」
という順番でやっつけることができました。
よくある三々定石からの変化ですので
また眺めてみてください。
ありがとうございました。
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