今回は、囲碁の死活問題の中でも非常に重要な「中手(なかで)」について解説します。
とても実戦で役に立つ話ですので、ゆっくりご覧ください。
目次
死活の重要手筋「中手」
中手についてお話しするために、まずは眼の確認からいきましょう。
「陣地の広さ」≠「眼の数」
まずは、復習も兼ねてこの図からいきましょう。
この状態は、白がどうなっているのかというと…
Aの一眼しかなく「白死」の状態です。
黒に取られることを防ぐ手がないのですね。
そして、このように黒石との間が空いていたとしても、黒に封鎖されていて一眼しかないので、この図も「白死」です。
では、この図はどうでしょう。
白の陣地は「二目」ありますが、生きているのでしょうか?
もしも黒番だった場合、黒は白を取るために、1と白の中に入ることができます。
(着手禁止点ではないですね。)
そして、白に2と打たれて取られますが、
こういう状態になって、この白は…死んでいますね。
黒一子を取りましたが、一眼しかありません。
最初の場面に戻ります。
この時、先ほどは黒番で考えましたが、白番だった場合はどうでしょうか?
白から打って、助かる手があるかどうかがポイントです。
白番で、例えば白1と打ったとしても…白は一眼しかありません。
取られてしまっています。
また、こちらの白1に打ったとしても、白は一眼しかありません。
このように、白から打ったとしても一眼しかできないのです。
つまり、この白はこのまま「一眼」しかなく死んでしまっている状態です。
陣地の広さは「二目」なのですが、生きるための「眼」としては「一眼」しかないのです。
⇒陣地の広さと、眼の数はイコールではな意ということが分かってきますね。
こういうイメージで、一部屋(一眼)ということです。
また、「一眼」ということなので、このように黒石との間が空いていたとしても白は取られてしまっています。
【囲碁入門⑧】「死に石について」取られている石ってどういうこと?
中手とは?
さて、ついに「中手(なかで)」の話です。
この図について考えてみましょう。
もしも白番だったらどこに打ちますか?
白番だった場合は、白1が良い手ですね。
ここに打つ事で「二眼」を作って生きる事ができます。
さて、テーマ図に戻って、今度は黒番で考えてみましょう。
黒番だった場合は…白が二眼を作らないように…
黒1が良い手です。(白もこの場所に打ちたいのでしたね。)
ここに打つ事によって、なんと、白が一眼になるのです。
このあと、仮に白がA、Bと二手打って黒1を取ったとしても…
こういう状況ですから、白は一眼しかありません。
今、白が二回打ったにもかかわらず一眼だったのです。
ということで、黒1と打った段階でこの白は一眼になるのですね。
この黒1が「三目中手」という、相手を一眼にする手筋です。
こんな感じで白の陣地が一部屋になって「一眼」なのです。
また、このように黒が離れていても、白は一眼で死んでいる状態です。
さらに、こんなに隙間が空いていても、黒に封鎖されていて他に白の眼ができないので「一眼で死に」ということになります。
ここまで大丈夫でしょうか。
中手の練習
では、中手の練習問題を解いてみましょう。
練習問題1
この図の白はどうなっているでしょうか?
まずは、白番で考えてみて下さい。
白番だった場合は白1が良い手です。
このように打つと「二眼」できます。
OKですね。
では、今度は黒番で考えてみましょう。
黒は、白に二眼を作らせたくありません。
なので…
黒1が正解になります。
そしてこの手が「三目中手」です。
白が一眼になるのですね。
一眼であることの証明として、白がA、Bと二回打って黒1を取ったとしても、
こういう状態ですので「一眼」です。
白がA、Bと二回打ったにもかかわらず一眼なので、
黒1と打った段階で、白は一眼しかできないということが分かります。
練習問題2
次はこの形です。
まずは白番で考えてみましょう。
白番だった場合は、白1が二眼を作るための良い手です。
黒が白の周りを囲んだとしても、白はアタリになることがありません。
では、今度は黒番で、白を一眼にしてください。
白に二眼を作らせないように…
黒1ですね。
「三目中手」で、白を一眼にして丸ごと取る事ができます。
終局して、陣地を数える時にこの白たちを「アゲハマ」として取って良いのですね。
大分わかってきましたか?
練習問題3
今度は少し形を変えてみましょう。
この図はどうしょうか?
まずは白番で二眼作る手を考えてみて下さい。
白番でしたら白1が良い手ですね。
ここに打つ事で「二眼」できます。
では、今度は黒の番で考えましょう。
白に二眼を作らせないためには…
こういうことですね。
黒1と打って、白に二眼を作らせないようにします。
この手も「三目中手」です。
相手の三目の陣地を一眼にする手筋です。
黒1と打つだけで、白を丸ごと取れたことになるのです。
証明としては、白がA、Bと二回打って黒一子を取ったとしても、
白は一眼しかありません。
「三目中手」にした段階で一眼なのですね。
OKでしょうか。
次は「色々な中手」について見ていきましょう。
※囲碁入門ではどんなことを学ぶのか?という今後の全体像については下のまとめ記事をご参考ください。